最近の液晶テレビやブルーレイレコーダーはネット対応のモデルが多く、さまざまなコンテンツをテレビの大画面で楽しむことができる。だが付属リモコンでの操作は使いにくいと感じている人もいるのではないだろうか。筆者もそのうちのひとりで、特にコンテンツの検索時にリモコンから文字を入力したり、方向キーを何度も押すのに強いストレスを感じている。キーボードとマウスなら一瞬で終わるのに、と思うことが多い。
今回取り上げるサードウェーブデジノスの「Diginnos DG-M01IW」は、こんな時に便利な、テレビに接続して使えるタイプの小型PCだ。OSとしてWindows 8.1 / 10を採用しているので、PCに慣れている人ならキーボードとマウスを使ったいつもの操作で、目的のコンテンツを素早く開くことができる。
テレビに接続するPCというと、HDMI端子に直接挿して使うスティック型PCが主流だが、「Diginnos DG-M01IW」はスティック型ではなく、文庫本サイズのPCだ。スティック型PCとの違いは、テレビとの接続にケーブルを利用する点と、タブレットやノートPCと同じくバッテリを内蔵している点のふたつ。この違いが運用においてどのように影響してくるのか、今回は実際にテレビに接続して使ってみた感想を交えながら紹介しよう。
■主な仕様 [製品名] Diginnos DG-M01IW [CPU] Intel Atom Z3735F(1.33GHz) [メモリ] 2GB [ストレージ] 32GB eMMC [光学ドライブ] ― [グラフィックス] Intel HD Graphics(CPU内蔵) [ディスプレイ] ― [OS] Windows 10 Home 32bit [直販価格(税別)] 19,800円
スティック型PCより魅力的な3つのポイント
前回のロードテストでも紹介したが、正直なところ「Diginnos DG-M01IW」はメインのPCとして活用するにはスペックが低い。CPUはAtom Z3735F(1.33GHz)でメモリ容量は2GB、ストレージは32GBのeMMCと、格安な8型タブレットと同等レベルだ。だがネット動画を視聴したり、軽めのゲームを楽しむのには十分な性能を持っている。コンテンツプレーヤーとして利用するのがもっとも王道的な活用法だろう。その意味で、「Diginnos DG-M01IW」はテレビにつないで使うのが最適な使い方ではなかろうか。
スティック型PCはテレビのHDMI端子に本体を直接挿せるのが魅力なのだが、実は機材や環境によっては挿すのが難しいというケースがある。たとえばテレビにケーブルを何本も挿していると、スティック型PC用のスペースが確保できないということもあるかもしれない。スティック型PCはHDMIのほか電源アダプタも必要なので、そのぶんのケーブルの取り回しも面倒だ。
その点「Diginnos DG-M01IW」はHDMIケーブルを使って接続するので、テレビの背面に設置スペースが必要ない。場所によってはケーブルを延長する必要があるが、比較的余裕のある場所に置けるのが魅力だ。バッテリを内蔵しているので長時間利用するのでなければ電源ケーブルも必要なく、ワイヤレスのキーボードやマウスを使えば本体に接続するのはHDMIケーブル1本だけですむ。
実際の利用にはワイヤレスのキーボードとマウス(もしくはタッチパッド付きのキーボード)があると非常に便利なのだが、用意しきれないという場合もあるだろう。「Diginnos DG-M01IW」は合計3ポートのUSB端子(USB 2.0×2+microUSB×1)を備え、キーボードとマウスを有線で接続してもまだ1ポート残っている。3つめのUSB端子にはUSBメモリや外付けHDDを接続するなど、一般的なPCのように余裕を持って使える点がうれしい。
またコンパクトサイズとは言え、スティック型PCよりもきょう体サイズが大きく、内部に熱がこもりにくくなっている。試しに付属のスタンドを使って本体を縦向きに設置した状態でベンチマークソフトを30分間連続駆動してみたところ、CPUの熱は60度以下と比較的余裕のある状態だった。
以上のように「Diginnos DG-M01IW」は、スティック型のPCに対して「設置のしやすさ」と「拡張性」、そして「冷却性能」の3点でアドバンテージがあると言える。もちろん、スティック型PCにも「Diginnos DG-M01IW」にないメリットはある。だがさまざまな機器をつなぎたい人や、よりPC的な使用感を求める人には適するだろう。