Synology 2016 - 企業ユーザーや個人ユーザーを交えたイベントに

去る10月7日、台湾Synology社は、東京では初開催となるユーザーイベント「Synology 2016 TOKYO」を開催した。冒頭、日本の正規代理店となるアスクの武藤氏が「今回は通常の製品発表会ではなく懇親会のような形に」という経緯と、海外で年々規模を拡大しているこのイベントが東京かつアジア地区で初開催となり、新しい情報をいち早く届けられると挨拶した。

アスク 代表取締役社長の武藤和彦氏

台湾Synology社Sales DirectorのMike Chen氏

続いてSynology社のMike Chen氏が、今回のイベントと会社の概要を紹介。Synologyは2000年、ソフトウェアソリューションプロバイダーとして創業したが、2004年にNASの会社へと路線を変えた。NASと監視機器の専業メーカーとして90カ国以上の出荷実績を持ち、総販売数は320万台以上になるという。

特にヨーロッパ市場では、シェア32%とNo.1だ。Amazonのランキングでも、現在のベストセラー機種「DS215j」は日本、ドイツ、フランス、イギリスで高い評価を受けている。日本ではBCNアワードも受賞した。こうした状況と「昨年よりも3倍売れている」ということから、今回、東京での開催につながったようだ。

【左】台湾から来日したMike Chen氏(左)、Nicole Lin氏(中)、Willie He氏(右)。日本へのコミットは今後も強化する予定で、現在は2カ月に一度のペースで来日しているという。【右】昨年(2014年)の15都市・4,000人クラスのイベントから、2015年は東京、バルセロナ、トルコが追加されて5,000人規模へと成長

【左】Synology社の説明。現在はNASと監視機器の専業メーカー。監視機器ではIPカメラのデータを保存する専用製品も投入している。【右】特に強いのはヨーロッパ市場で、32%のシェアを誇る

【左】Amazon(4地域)で、DS215jはランキング1位のベストセラー。日本では欲しいものランキングでもトップだ。【右】価格.comでも売れ筋、注目ランキングトップ。本社サイドでも、こうしたデータを注視しているという

【右】さらにBCNランキングでもトップ。【左】このあと説明される内容のダイジェスト。かなり盛りだくさん

NAS OSの新バージョン「DSM 6.0」はBtrfsと仮想化をサポート

SynologyのNAS製品が搭載しているNAS OS「DSM(Disk Station Manager)」に関しては、アスクの児島氏から詳細な説明があった。かなり詳しい内容だったので、ここでは概要をお伝えしたい。

【左】アスク FAEの児島雅之氏。【右】DSM 6.0の提供をアナウンス。ただしβプログラムで正式版は2016年4月以降に公開予定。企業の業務環境ではまだ使わないでほしいとのこと

現在、SynologyのNASが搭載している基本ソフトはDSM 5.2だが、DSM 6.0の提供がアナウンスされた。まずは6カ月のβプログラムを実施し、正式公開は2016年4月以降となるという。

そのDSM 6.0は、拡張プログラムを含め、すべて64bitアーキテクチャに変更された。これによって処理能力が向上したほか、新しいファイルシステム「Brtfs」をサポートし、共有フォルダのサイズ制限が大幅に緩和される(ただしBrtfsは、IntelのクアッドコアCPUを搭載したNAS製品のみサポート)。この大幅な見直しによって安定性も高まり、パッケージのモジュール化でアップグレードも容易となる。

【左】DSM 6.0からは64bitアーキテクチャ化。4GBメモリの壁がなくなり、並列処理能力がアップ。アドオン系のソフトもすべて64bit化する。【右】IntelのクアッドコアCPU以上を搭載したモデルで、ファイルシステムのBrtfsをサポート。ラインナップ上は「Plus」シリーズ以上が目安となり、個人やSOHO向けモデルでは利用できない

【左】Brtfsによって、ペタバイトクラスの共有フォルダが作成可能に。【右】64bit化に伴うシステムの見直しによって、安定性が向上。モジュール化とサービスのセグメント化も