iPhoneアプリの開発はiPhoneでできない
iPhone至上主義を貫くAppleは、アプリと開発者の充実による恩恵を、iPad、Apple Watch、そしてApple TVへと分け与えようとしている。
iPhoneやiPadはiOSを利用するが、Apple WatchにはwatchOS、Apple TVにはtvOSをそれぞれ用意し、デバイス特性を生かした仕様策定を行った。しかし、いずれもiOSをベースとしており、やろうと思えば、開発者は1つのアプリでこれらのデバイスすべてをサポートするユニバーサルアプリを実現している。
本稿の始めに、MicrosoftはWindows 10でモバイルデバイスとパソコンを1つのOSに統合させている点に触れ、開発者がアプリを複数のプラットホームで走らせられるメリットを指摘した。これには、IoTデバイスなども含まれており、競争力あるプラットホームとなることが強く期待される。
Tim Cook氏はモバイルデバイスとMacのOSの統合こそ否定しているが、「モバイルデバイス」に含まれるデバイスは次々に増えている。音楽プレイヤー、スマートフォン、タブレット、ビジネスPCの置き換えになり得る高性能の大型タブレット、腕時計型のウェアラブルデバイス、テレビ向けセットトップボックスまでが、iOSのエコシステムに加わったのだ。
さらに、Swiftはオープンソース化され、コードはLinuxでの実行という。すると、IoTまでカバーできるようになる可能性もあり、Windows 10のプラットホームに遜色ない拡がりを見せてくれる。
その上で、AppleのOSやアプリ開発における絶対法則がここにある。iOSデバイスでは、iOSアプリを開発できない、というものだ。
つまり、Appleのエコシステムにおいて、モバイルデバイスの開発に着手するには、必ずMacが必要になるのだ。iOSとOS Xを分けておくことによって、iOSプラットホームが発展すればするほど、Macの売上は伸びていく、そんな仕組みになっているのだ。