相互に作用しながら発展してきたApple製品

エンタープライズ市場への取り組みについて語ったTim Cook氏。この中で、iOSとMacは融合させない方針を確認したが、エンタープライズ市場への売り込みはiPadが中心となるため、デバイスの管理やアプリ開発で、必然的にMacの浸透も見込むことができる点に、組み立て方の巧さを感じた

Appleは、Mac、iPhone、iPadの3つの製品カテゴリについて、お互いの良い進化を取り入れながらユーザー体験を高める方針で、取り組んできた。

例えば、iPhoneはマルチタッチスクリーンを搭載したが、Macにもマウスやトラックパッドで同様のタッチスクリーンが搭載され、ジェスチャーによる効率的な操作を実現している。最新の3D Touchも、感圧トラックパッドとして既にMacBookシリーズに取り入れられている。

また、iPhone 4で導入されたRetinaディスプレイは、高精細で広い視野角の鮮やかな、印刷物のような表示が可能なディスプレイとして、Appleデバイスのスタンダードとなった。こちらも、iPhoneから導入され、iPad、MacBook Proへと拡がりを見せた。

またiPadのゼロスピンドルコンピューティングは、Macへと拡がり、iMacを除く最新のMacにはハードディスクや光学式ドライブが廃されている。またバッテリー効率を高め、スリープ中の電力消費を極限まで落とす工夫も、iPad譲りのMacの仕様といえる。

MacBook Airは驚くほど薄いコンピュータとして登場させたが、薄さは価値になるというブランディングがiPadにも生かされ、iPad Air 2の薄さ、軽さは再び驚きを与えてくれた。

このようにデバイスとしては、お互いに良い影響を与えあいながら、Appleの製品ラインアップの進化を遂げてきた。こうした関係性を崩さない方が、製品の発展やユーザーへ訴求するトレンド作りの面でも、有利であるという判断があるのは、OSを統合しない1つの要因といえるだろう。