――そういう意味でも今回のミュージックビデオはかなり攻めています
LiSA「嫌いですか?(笑)。自分の中で隠している感情、心の中にあるブラックな感情を表現すると、ああいう形になるんですよ」
――人魚というより完全に半魚人?
LiSA「そうそうそう(笑)。マーメイドって、貝殻付けてうるっとしているイメージじゃないですか。そんなイメージは頭から覆していこうと思いました」
――あの姿で「ねぇ、今だけは私を見て」と言われたら、間違いなく逃げます(笑)
LiSA「でも、人間の中には絶対にああいう人がいるんですよ」
――先ほどからおっしゃっている"毒"の部分を視覚化するとああいう感じなんですね
LiSA「ただ、鱗がダメな人にはちょっと厳しいかもしれません(笑)。あの特殊メイクは3時間も掛かったんですよ」
――特殊メイクをした自分はいかがでしたか?
LiSA「自分でもちょっと気持ち悪かったです。ちなみに、映像で観るよりも実物のほうがもっと気持ち悪いんです」
――映像で観るほうがまだマシなんですね
LiSA「二次元って大事だなって思いました(笑)。今回の曲は、歌詞だけを読んだときと、曲として聴いたときの印象が全然違うんですけど、ミュージックビデオを観ると、そのすべてが一致すると思うので、ぜひ一回は観てほしいです。夜寝られなくなるかもしれないですけど(笑)」
――2曲目の「リスキー」は小南泰葉さんの作曲ですが、最初に聴いたときの印象はいかがでしたか?
LiSA「デモテープは、小南さんの歌とアコースティックだけだったのですが、完全に小南さんの曲でした。だから、先ほどの『UPLIFT SPICE』さんと同じで、私はこの歌を超えられる自信がないぞって思いました」
――ちなみに小南さんにお願いした経緯は?
LiSA「とにかく小南さんの歌がすごくカッコいいからなんですけど、彼女自身もどちらかいうと"毒"のある人だと思っていて。そんな小南さんが持っている"毒"と、今までポップを出したいと思ってチクチクと入れてきた私の"毒"を合わせたら面白いものができるんじゃないかと思いました。これまでもいろいろなクリエイターさんとやらせていただいているので、その2つが合わさっても、ちゃんとLiSAの曲にできるという自信があったんですよ、最初は。でも、最初にいただいた曲が、本当に小南さんらしい曲だったので、これを私はちゃんと料理できるのかって……。でも、それを江口(亮)さんがアレンジですごいことにしてくれて(笑)」
――「Empty MERMAiD」もそうでしたが、やはりアレンジャーというのは重要ですね
LiSA「この曲も元々は、完全にアコースティックで、全然アップじゃない曲だったのに、江口さんの手に掛かるとちゃんとLiSAらしい曲になるわけですよ。ただ、そのおかげで、最初に書こうと思ったことも変わってしまって、歌詞自体もアレンジの後に書き直しました(笑)」
――元々はどういう感じの歌詞だったのですか?
LiSA「もう少し、男の人に対しての"毒"が強かった。全体的な"満たされていない感"は同じなんですけど、ちょっと甘くなった感じです。元々あった"毒"が、江口さんの手によって浄化され、ちょっとスイートな感じになりました」