次のニュースに注目

すでに説明しているように、昨年の1000万台水準突破のニュースはAppleにとってプラスでもネガティブな材料でもない。むしろ次の部分に話題が移りつつある。まずは冒頭でも出た2015年内のiPhone製造台数目標である8500~9000万台程度を達成できるかという点で、これが最初のハードルとなる。

1つめに、iPhoneには現状で製造問題が指摘されており、先ほどのiPhone予約状況をみればわかるように、昨年同様に大画面版のiPhone 6s Plusの需要が逼迫している。MacRumorsがKGI SecuritiesのアナリストMing-Chi Kuo氏のコメントを引用して伝える内容によれば、iPhone 6s Plusのバックライト部品のサプライヤの1社である日本のミネベア(Minebea)が同部品の製造に問題を抱えており、供給が現時点で逼迫している状態にあるという。

短期的とはみられるが、これが世界各国でiPhone 6s Plusの配送状況が「3~4週間」となっている原因と考えられる。Appleは販売初週に同モデルを150~200万台ほど用意する見込みだと同氏は予測するが、影響が一時的なものだと思われるのと、台数比率がiPhone 6sに傾いていることを考えれば、課題となる2015年中の総販売台数には大きな影響を与えない可能性が高い。まずはこのように、Appleが需要に応じた供給台数を最大の商戦期に用意できるかが注目ポイントとなる。

2つめはiPhoneに対する需要だ。以前のレポートでも紹介しているように、中国での取り扱いキャリア拡大を実現し、すでに大きな伸びしろがない状況で、Appleがどこまで販売台数を上積みできるかに注目が集まっている。Force Touchなど新機能を搭載し、プロセッサやメモリまわりを強化したとはいえ、基本的にはマイナーアップデートとされるiPhone 6s。中国を含む世界経済の減速でスマートフォン販売の先行きが不安視されるなか、販売推奨金(Subsidy)がなくなり、米国でAT&Tを除く携帯キャリアで本来の価格を表示させられる状況になったAppleがiPhone Upgrade Programを発表して割高感の払拭に努めたりするなど、iPhoneをとりまく状況はやや厳しくなっている。

8500~9000万台という水準は13%の伸びを期待する一方で、Appleが昨年に引き続き2桁成長を達成できるかは多くが注目している。筆者はおそらく同時期に10%前後の成長は可能だと予測しているが、一方で来年以降もAppleがiPhoneで継続成長できるかは非常にチャレンジングな状況だと考えている。今後はiPad Proにみられたようなプロフェッショナルやビジネス分野への訴求、Apple Watchによる新分野開拓など、iPhone以外の分野をいかに伸ばせるかにかかっている。