iPad Proのキャッチコピーは「The biggest news in iPad since iPad(iPad登場以来、iPadに関する最大のニュース)」だった。
iPad Proは、単純にiPadを大きくしただけのタブレットではない。Appleがより大きなタブレットを開発した背景には、同社が「デスクトップ・クラスのCPU」と表現するA9Xプロセッサの性能がある。初代iPadに比べるとCPU性能は最大22倍、GPU性能は最大360倍。これまでiPadは主にコンテンツを消費するためのデバイスだったが、A9Xなら3Dデザインの作成・レンダリングや4Kビデオのマルチストリームの編集といったPCを必要としていたタスクもタブレットでこなせるようになる。そのパフォーマンスを活かせるようにデザインした結果が12.9インチのiPad Proである。
12.9インチの画面はレターサイズの紙を広げるようにドキュメントを表示できる。短辺が2,048ピクセルであるのもポイントの1つだ。これは9.7インチのiPad Air 2の長辺と同じであり、2つのアプリを並べて使用できるiOS 9のマルチタスク機能「Split View」の片方にiPad Air 2の画面がすっぽり収まる。
Appleはこれまで、iOSデバイスでは指のみの操作にこだわってきた。iPad Proも基本的にタッチで操作する端末として設計されている。しかし、iPad Proはコンテンツの作成や編集といったクリエイティブな作業にも適したiOSデバイスである。そこでiPad Pro用にキーボードカバー「Smart Keyboard」とスタイラスペン「Apple Pencil」を用意した。
Smart Keyboardは、ハードウエアキーボードを備えたタブレットカバーである。Smart Coverと同様、マグネットでiPad Proに接続し、折りたたみ方を変えることでカバー、スタンド、そしてキーボードとして利用できる。 iPad Proがタブレットであるメリットを損なわずに利用できるキーボードだ。
指で操作するように設計されたディスプレイでスタイラスペンを使うと遅延やズレが起こって使いにくい。Appleは、指に加えて、精密さと高速なレスポンスが求められるペンによるドローイングに対応できるようにiPad Proのマルチタッチ・サブシステムを設計した。iPad ProとApple Pencilの組み合わせによって、ペン先の位置、圧力、そして傾きが正確に読み取られ、遅延なく動作し、ペンや筆を使って紙に描くような自然でなめらかな表現が可能になる。