αのノウハウもつぎ込んで新しくなったカメラ

Z5 Premiumの4Kディスプレイに加え、Z5シリーズ全体での最大の特徴はカメラ機能の強化だ。

コンパクトデジカメの「サイバーショット」シリーズと同サイズのセンサーを搭載したXperia Z1以降、センサーもモジュールも新規開発してZ4まで搭載してきた。「カメラのエクスペリエンスは誇るものがあると思っていた」と伊藤氏。しかし、特にAFとズーム機能、暗所撮影を強化する声があるため、「AFとズームをてこ入れしたかった」(同)。

刷新されたカメラモジュール

その結果、カメラの業界団体であるカメラ映像機器工業会(CIPA)が定める基準にあわせ、AFの合焦速度は0.03秒となった。センサーにAF用の素子を組み込む像面位相差センサーを採用しており、このスピードを実現した。

AFにはコントラスト検出方式と位相差検出方式があり、スマートフォンではコントラスト方式が一般的。この場合、ピント合わせのために画面が前後に動いてピントを合わせるため、スピードがやや遅くなる。位相差方式は、デジタル一眼レフカメラなどで採用され、AFセンサーが検出したピント位置まで一気にレンズを合わせるため、高速なAFが可能。

AFには大きく2種類の方式がある。コントラスト検出方式(下)は少しずつピント位置を探り、位相差検出方式(上)は距離を検出して一気にピント合わせをする。両者を併用したのがハイブリッド方式

像面位相差センサーによってこの高速AFが可能になり、さらにコントラストAFも併用することで、高速かつ正確なAFが可能になる。レンズ交換式カメラではα7R IIといった高級カメラで位相差とコントラストのAF方式を併用するファストハイブリッドAFが搭載されているが、機能としては同様のもの。ソニーが開発したExmor RSセンサーをカスタマイズしているとのことで、ここにαの技術が投入されているそうだ。

今回搭載された像面位相差センサーは、中央部分だけでなく、画面全体にAFセンターを備えており、広いエリアで位相差AFが使える(左)。動画撮影時にも、被写体を検出するとそこに素早くピントが合わせられる

今まで、Xperia Zシリーズのカメラではコンパクトデジカメのサイバーショットの開発部隊の協力を受けながら開発しており、新しいAF方式とセンサーの採用にあたっては、α部隊と協業し、αで培われたノウハウをつぎ込んで高速なAFを実現したとしている。

Z1以来共通だったカメラモジュールも一新し、画像処理のアルゴリズムでもαのノウハウを投入しているそうだ。像面位相差AFでは、動画撮影時のAFも高速化。被写体が動いていても、指定の位置に素早くピント合わせができるとしている。