インターンシップを実施する企業が多数

――後ろ倒しに対応するため企業が行った対策はどのようなものがありましたか?

採用広報が開始されるまでの長い準備期間に積極的に実施されたのがインターンシップです。2016年卒の場合は、昨年8月と今年の2月が実施のピークになりました。2月に実施したインターンシップに参加した学生は、3月以降の個別会社説明会の参加率が高かったという調査結果も出ています。恐らく来年度に向けてもこの傾向は変わらず、大手企業に限らず、中堅・中小企業も活発に実施するものと考えられます。

今年はエントリー開始から選考まで5カ月間ありましたが、その間にも経団連非加盟企業は先んじて選考を行いました。それに対し、8月から選考を開始する企業は、リクルーターを活用したり、面談会、懇親会のほか、就活応援イベントを実施するなど選考解禁に向けた入念な下地作りを積極的に行っていたケースが少なくありません。

インターンシップについて、参加学生からは「企業理解を深めることができた」という意見が大半を占めています。今年は3月1日にエントリーがスタートし、企業の各種イベントが一斉に実施されました。学生はエントリーをしてからじっくりと企業研究をする時間がなかったのが事実です。その分、事前にインターンシップに参加した学生は、実際の職場の雰囲気も含めて、企業理解を深めることができたと感じているようです。

終わりに

3月に取材したマイナビ就職 MEGA EXPOでは、企業の担当者から「目標人数を達成できるか不安」という声が上がっていた。選考前の活動に関しては、各社がインターンシップや面談会を積極的に実施し、学生の企業理解が深まるなど一定の成果を上げている。ただ、実際に選考が始まってみると、採用目標人数の約2割ほど不足している企業が多くみうけられ、明暗が分かれる結果となった。来年以降は企業側の8月初旬の選考スケジュール見直しを含めた新たな採用戦略の組み立てが求められそうだ。