樋口氏、日本の地方創生にはテレワークが重要と語る
次に登壇したのは、日本マイクロソフト 代表執行役会長の樋口泰行氏。挨拶もそこそこに「この期におよんで、またアンタ出てくるのか」「そういうことでございます」と軽い口調の冗談から始まった樋口氏のスピーチは、社長時代に輪をかけて軽妙になった印象を受ける。平野氏を指して「大変頼もしい。顔からは判断しにくいが、日本生まれの日本育ち。(中略、樋口氏と比べて)年齢も一回り以上若返り、身長も10パーセントアップ」と軽妙なトークで、来場者の笑いを誘った。
樋口氏は「日本でビジネスを行う以上、この国の課題や方向性をくみ取った連係を経て、皆様に認められる会社になると考えている」と、社長時代から強調していた"日本マイクロソフト"としての姿勢を改めて強調。かつて樋口氏は、会長職になってからは、社長時代に実行できなかった社内外とのリレーションを強化したいと語っていたが、今回の発言は日本に根を張った企業として邁進する意思の表れだろう。
続いて樋口氏は「日本共通の課題への取り組み」として2つの課題を語った。1つめは「ワークスタイル変革の推進」。平野氏の内容と重複する部分は省くが、労働力という観点から見て、現在は経済成長が難しいため、労働形態の柔軟化など"いつでもどこでも"労働参画できる仕組みを作らなければならないという。その結果、テレワークが重要視されるようになったと樋口氏は分析した。
地方創生というテーマについても言及し、「物理的かつ時間的にも離れている地方を身近にするためには、ICTで距離を縮めれば、活性化につながるのは明白だ」と、自社の役割や任務を強調。その一環として「テレワーク週間2015」で実施した、北海道別海町の廃校にブロードバンド回線を引いて、家族ともども移動した実証実験を紹介した。
2つめの「万全のセキュリティ対策」。まもなく始まるマイナンバー制度など、我々の生活面でセキュリティリスクが増えつつある。その上で樋口氏は「日々使用するデバイスも増加しているが、セキュリティ対策として会社に持ち込まないという後ろ向きな考え方ではなく、安全性を担保して使うべきだ」と語った。平野氏の発言と重複するが、サイバー犯罪をいち早く検知する仕組みや、ノウハウを利用したセキュリティリスク改善サービスの提供など、セキュリティ面でも強い日本マイクロソフトをアピールしていた。