ソフトウェアでの解決をこころみた「iOS 9」

デザインとディスプレイサイズとバッテリーは切り離せない関係にあり、もともとシンプルなデザインを実現し、7mmを切る薄さにまで追求してきたAppleにとっては、ユーザーの目線からしても「これ以上どうすれば良いのか」と悩ましい。

そこでAppleは、iOS 9で「秘策」をいくつか搭載している。

まずは「省電力モード」。こちらはApple Watchにも搭載されており、基本である時計機能をより長く持続させることに主眼を置いたモードで、バッテリーがなくなって時計が単なるブレスレットと化すことを防ぐ。

iPhoneの場合はもう少し手が込んでいる。バッテリーが減ってくると、省電力モードへの移行が促されるようになった。ONにすると、プロセッサの性能やディスプレイの輝度が下がり、バックライト消灯までの時間も短くなる。また、メールのプッシュによる取得や、アプリなどの自動ダウンロードも行われなくなる。

AppleはWWDC15で、省電力モードへの移行によって、iPhoneのバッテリー持続時間を1時間延ばすことができると説明している。もしも省電力モードを100%の段階からONにすれば、数時間は利用時間を延ばすことができることになる。

また、次なる秘策として、環境光センサーと近接センサーを使い、iPhoneのディスプレイを机の面に向けておいている際には、通知が届いても画面を点灯させない機能を備えている。ここでも、ソフトウェアによって、無駄なバッテリー消費を抑える仕組みを採用している。

ちなみに、省電力モードも、机の上での置き方によるディスプレイの点灯の有無についても、Android OSでは既に取り組まれてきたことで、Appleはこれらの後追いである。

WWDC15で触れられたiOS 9のバッテリー対策。iPhone・iPadともに、バッテリー効率が上がり、また省電力機能によって、バッテリー持続時間を伸ばすことができる