どんな製品にも尊敬すべきだが……

さて、どんな製品も、技術者が苦労して設計し、製造現場の人達の努力で作られます。なので、アップル社の製品を含む、どんな製品にも一定の「尊敬」を持たねばならないと筆者は思っています。もちろん、世の中にある製品はどれも素晴らしいものだけではなく、中には「金返せ」といいたくなるものもあります。

ライターという仕事をしているので、意にそぐわない記事を書かねばならないこともないわけではありませんが、少なくとも筆者は自分でテーマを選択できる場合、紹介するに値する製品の記事を書くようにしていて、そうでない製品については、基本的には扱わず「沈黙」することにしています。

とはいえ、基本的には、評価する製品は、自費で購入しているため、なかには、「ホントに後悔した」と書きたくなることもあります(そうして書いてしまったのが前述のiPadの記事です)。もっとも最近では、個人的な発言としてツイッターなどのSNSで文句を言うこともできるので、「後悔した」記事を書く誘惑をなんとか押さえ込むことはできているんですが。

スタンスが合わない……

なぜiPhoneを使わないのかというと、アップル社の製品作りに関するスタンスに自分とは相容れないものがあるからです。製品作りに関するスタンスとは、たとえば、コストを重視して、匡体をネジ留めせずに接着剤で止めちゃうような感覚や実用性よりも見た目を重視するような感覚です。

筆者は、マッキントッシュ用のUSBキーボードを購入したことがあります。いまでも使われているアルミを匡体に使ったキーボードは、両面テープか接着剤で匡体が固定されており、中を開けるのも困難でした。また、その前世代の透明なアクリルを使ったワイヤレスキーボードや白い筐体のMac Mini(インテル版の最初の製品)は、ホコリを吸着してすぐに黒くなってしまい、その後の経年変化で白いプラスティックがいまでは黄色くなっています。見た目を重視するのはいいのですが、汚れやすいというのはいかがなものかと思います。多くのIT機器がグレーやベージュ、あるいは黒などの暗い色なのは、それなりの理由があるのです。

また、標準を採用しながらも独自な拡張や自由の利かない仕様にしてしまうという感覚も筆者とは相容れないものでした。

たとえば、「新しいiPad」用に購入したカメラコネクションキットは、メモリカードのFATファイルシステムにアクセスできるものの、DPOF準拠のファイル名を持つ画像ファイルでなければ、iPad側からアクセスすることもできませんでした。ウィンドウズでもアンドロイドでも、メモリカードを接続すれば、中に入っているすべてのファイルにアクセスできるのが普通で、それが「コンピュータ」というものです。なのにわざわざファイル名を制限するなど、愚の骨頂としか筆者には感じられませんでした。

カメラコネクションキット