筆者もiPhone自体は十分に評価しているものの、おサイフケータイが使えないという点で、iPhoneの選択肢はやはりあり得ない。なぜそこまでおサイフケータイにこだわるのかという声が聞こえてきそうだが、やはりそれは一度でも体験すると手放せなくなるほどに便利だからだ。
おサイフケータイ対応スマートフォンがあれば、それだけで電車に乗れるし買い物もできる。Suicaも楽天Edyもnanacoもカードがあれば不便はないと言う人もいるが、それらが全て入った財布をそのままリーダーにかざしてもエラーとなることが多いし、かといって財布から対応するカードを取り出すのは面倒。それに対しおサイフケータイ対応スマートフォンなら、何も考えずにスマートフォンをタッチするだけだ。そしてなにより、スマートフォンの画面で残高の確認からチャージまで簡単にできてしまうのも便利だ。
Apple Payの動向に注目
と、ここで聞こえてきそうなのが、「iPhoneにはApple Payがある」という声だ。筆者もApple Payには大いに注目しているし、非常に素晴らしい機能だと思っている。Apple Payは独自サービスと思われがちだが、その中身は世界標準の機能をベースとして実現されている点も素晴らしいところだ。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、訪日外国人の利便性を高めるために、NFC Type A/Bベースの決済サービスを普及させるという気運が高まっているのも追い風だ。そのため、日本でもクレジットカード決済が行えるお店でApple Payが使えるようになる可能性はかなり高いだろう。もし日本でApple Payが使えるようになれば、iPhoneに乗り換える大きな動機になることだろう。
ただ、Googleが次期OS「Android M」で採用予定の非接触決済サービス「Android Pay」が登場すれば、Apple Payにこだわる必要がなくなる。Apple PayとAndroid Payは、もちろん異なるサービスだが、どちらも世界標準の技術をベースとして実現されており、Apple Payが使える場所ではAndroid Payも使えることになる(もちろん逆も同じ)からだ。
もちろん、Apple Payでおサイフケータイが実現されるかというと、その可能性はかなり低い。こればかりは、Suicaや楽天Edyのベースとなっている「FeliCa」との互換性がない以上、どうしようもない。もしおサイフケータイ同様に使えるようにするには、FeliCa陣営がNFC Type A/Bをサポートするなどの仕様変更が不可欠となる。ただ、それには、今普及している決済端末を全て置き換える必要がある。それにかかるコストを考えると、ほぼ不可能に近いと言わざるを得ない。そう考えると、まだまだおサイフケータイ対応のAndroidスマートフォンからは離れられそうにない。