「人」を軸としたWindows 10、日本市場でWindows Phoneが加速か
とくに、「革新的なパーソナルコンピューティング体験の創造」では、「Windows 10+デバイス」という観点から説明を行った。
「Windows 10は、マイクロソフトの変革を象徴する製品になる」と位置づけたあと、「Windows 10は、PCを軸として考えた製品ではなく、人を軸として考えたソリューション。ユニバーサルプラットフォームの実現により、ひとつのアプリで、IoTからスマホ、タブレット、PC、さらには大画面のデバイスまで、様々なサイズのディスプレイに対応し、バリューを提供できる。ユニバーサルアプリの開発がしっかりと進むように、情報提供の場を用意していきたい。また、今年秋から年末にかけて、Windows 10を搭載した新たな多数のデバイスが登場する。私としても、大変楽しみにしており、販売店店頭にも足を運びたい」と語った。
さらに、「7月29日から、Windows 7および8.1のユーザーは、無償でWindows 10にアップグレードできる。まだ試していない人は、ぜひ使ってほしい」と、パートナー各社に呼びかけた。
Windows Phoneについても言及。「多くの方から関心を寄せていただいている分野である。日本でスマホは出さないのかと聞かれ、回答に苦しんでいたが、マウスコンピューターやフリーテルが、国内市場にWindows Phoneを投入し、それ以外にも様々なデバイスメーカーから相談や提案がある。ワクワクするトピックもあり、それを順次発表していけると考えている」と、国内市場に向けて、Windows Phoneを投入する動きが、少しずつ進展していることを示した。
日本語化が期待されているデジタルパーソナルアシスタント「Cortana」については、「まだ日本語を話さないのかと聞かれ、実際に日本語版を試してみたが、かなりいい感じになってきた。最初はちょっとへんな発音だったが、子供が成長するように、だんだん賢いことを話すようになってきた。機械学習(マシンラーニング)によって、どんどん進化を遂げている。そのうち、関西弁を話せば面白いかなとも思っている」などと述べ、日本語版の実用化に向けた準備が着実に進んでいることを示した。加えて、「Skypeトランスレーターの日本語対応についても、本社と緊密に連携して準備を進めている。時期は言えないが、私も期待している技術のひとつ。ぜひ、みなさんも期待してほしい」と語った。
Microsoft BandやHoloLensについても、「日本の顧客に届けられるようにしたい。Windows 10が持つ魅力と組み合わせながら、日本の市場をパートナーと一緒に盛り上げたい」とした。
国内で発売する意思を明らかにしているSurface Hubについては、「調布の研究開発拠点を、品川本社に統合するのに合わせて、社内のレイアウトを変更。Surface Hubを30台設置して、自らも検証することにする」と語り、7月2日の社長就任会見時には25台と話していたので、導入台数を増加させることになったようだ。
そのほか、「プロダクティビティとビジネスプロセスの改革」では、office 365の販売拡大に加えて、Dynamics CRMの販売強化を進める方針を示したほか、8月下旬に実施するテレワーク週間の取り組みについても言及。「昨年からパートナーにも声をかけて、30社にテレワーク週間に参加してもらったが、今年はより多くの企業に声をかけたいと思い、300社の参加を目標にした。一昨日の時点で400社が参加することになった。この勢いだと、最終的には500社規模になる可能性がある。テレワークは、政府との連携によって、地方創生にもつなげていく考えであり、北海道の別海町に、滞在型のテレワーク拠点を開設するといった取り組みも行う」と説明した。
「インテリジェントなクラウドプラットフォームの構築」では、「コネクテッドワールドのデファクトスタンダードを目指す」とし、WPC 2015で発表したCortana Analytics Suiteなど、Azureの機能を活用した製品群の品ぞろえについて説明。「Azureにどんな機能があるのかがわかりにくいという課題がある。日本市場向けに、10種類のシナリオをパッケージ化して訴求したい」と語った。
また、「クラウドを軸としたパートナーシップを強化し、クラウドの企業として、もっともパートナーを大切にする会社といわれることを目指す。2014年度にはクラウドパートナーは1,500社であったが、2015年度には2,500社にまで増大。さらにこれを3,500社に拡大する。CSP(クラウドソリューションプロバイダ)プログラムの拡張などを通じて、パートナーを通じたクラウドビジネスを、日本でもしっかりやっていきたい。ここでは、ISVパートナーとの連携を進める考えであり、7月1日付けでISVビジネス推進本部を20人体制で新設し、情報提供、ソリューションの共同開発などにより、パートナーへの対応をしっかりとやっていく考えだ」とした。
平野社長は、「日本マイクロソフトは、国内パブリッククラウド市場において、2014年度は5番手、2015年度は3番手だった。2016年度は、予算をしっかりとやれば、トップになれる」と、トップシェア奪取にも意欲をみせた。
一方で、「マイクロソフトは、創業してから、40年を経過する。これまでに大きな成功を収めてきたが、Windowsプラットフォームを守ることに経営方針が向かった時期があった。製品戦略や価格戦略などもそれに向かっていた。だが、サティア体制では、過去の成功体験にこだわらず、チャレンジャーとして取り組むことを打ち出した。競合と言われるところとも組み、オープンソースも取り込んだ。革新的で、親しみやすく、喜んで使ってもらうというところに軸足を置きたい。Windowsも、様々な価値訴求を重視したい」と述べた。