大型パーツも余裕をもって組み込める
それでは実際に組み込んでテストしてみよう。今回用意したパーツは以下の通りだ。
CPU | Intel Core i7-4790K(4GHz、最大4.4GHz) |
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マザーボード | ASUS Z97-PRO(Intel Z97 Express) |
メモリ | DDR3 PC3-12800 16GB(Crucial BLT2K8G3D1608ET3LX0) |
グラフィックス | ASUS STRIX-GTX970-DC2OC-4GD5(GeForce GTX 970) |
ストレージ | 240GB SSD(Intel SSDSC2CT240A4K5) + 2TB HDD×2(WesternDigital WD20EFRX) |
CPUクーラー | Thermalright Macho Rev.A(BW) |
電源ユニット | オウルテック AU-850PRO(850W、80PLUS Gold) |
作業スペースが広いため組み込み作業もストレスなく行えた。特に天井部分に空間の余裕があるため、マザーボードを入れた後でもCPUクーラーの装着や交換が非常にしやすい。EPS12Vケーブルを裏から配線するための穴が大きめに取られているのも評価すべき点だ。
さらに裏配線スペースも十分確保されているため、特別なテクニックを使わなくても十分美しい配線ができる。結束バンドで固定するためのループもマザーボード裏の随所に用意されているが、今回はほとんど使わずにまとめることができた。CPUカットアウトも大きいので、マザーボードを組み込んだままバックプレートを当てるタイプのCPUクーラー装着も余裕で行える。
裏面は特に気合いを入れてケーブルマネジメントをしなくても、こんな感じでまとまるようになっている。CPU裏のカットアウトが非常に大きく確保されているので、CPUクーラーのバックプレートも完全に露出していることがわかる |
ただエントリーモデルなせいか、マザーボードを支えるシャーシがやや強度不足な感じを受けたのと、フロントパネルから出るケーブルが少々乱雑になりがちな点等が気になったが、全体の完成度の高さを考えれば小さな話だ。
組み込んだシステム(OSはWindows 8.1 Pro 64bit版を使用)上で「OCCT Perestroika 4.4.1」の「Power Supply」テストを実行し、「HWiNFO64」でCPU、GPU、HDDの温度推移を追跡した。室温は約26℃、マザーボードのファン制御機構(Q-Fan)はSilentモードに設定している。
GPU温度はGPUクーラーが強力なせいもあってほとんど変化していないが、CPUの温度はファンの回転数をHighモードにすると2度低下した。HDDは吸気ファンのすぐ後ろに設置したせいか、どちらのモードでも温度はほとんど変化していない。テストに使ったCPUがCore i7-4790Kと高クロックな分発熱やや高めのCPUではあるが、標準構成のままでも十分冷えてくれることがわかる。
次にファンノイズも計測しておこう。ここではアイドル時とOCCT実行中(20分経過時点でCPU負荷の高い時)のファンノイズを騒音計「AR815」で計測した。ここではファンの動作モードのほかに、フロントパネル開と閉のときでの違いもチェックしてみたい。暗騒音は約35.3dBAの室内で測定し、騒音計のマイクはP100の正面30cmの位置に置いている。
P100のフロントパネルの効果は絶大で、高負荷時にパネルを開放するとファンノイズがダイレクトに耳に飛び込んでくる。ウレタン製スポンジのノイズ減衰効果はかなり高いようだ。ウレタン製なので、素材的に加水分解が懸念されるため、どの程度の年数で持つか不明だが、フロントパネルを閉じればエントリークラスのPCケースとしては十分な静音性を確保できるといえるだろう。
まとめ:チープさは所々にあるが、完成度は非常に高い
P100をさまざまな角度からチェックしてみたが、P280などの上位モデルと比べるとチープだと感じる部分が各所に見られる。しかし実売1万円前後のPCケースとしては極めてバランスの良好な製品だ。
大型パーツの収容力やしっかりとした裏配線対応はもちろんだが、筆者が最も気に入ったのは天井部分の空間が広く、空冷/水冷を問わず大型クーラーを組み込んでも難なく作業できるところだ。PC自作のスキルレベルに関係なく"使い手に余計な苦労をかけない"設計であることを力説しておきたい。