Surfaceやその他のハードウェアは?
Lumia以外のデバイス事業についての細かい情報はあまり出ていないが、前述のようにNadella氏が「引き続き"携帯電話を含む"ファーストパーティのデバイスにコミットする」とわざわざ「携帯電話を含む」とコメントを加えているように、SurfaceのようなMicrosoftのファーストパーティ事業は今後も健在であることが示されている。
少なくとも、2-in-1タブレットのSurface、Xbox One、大画面デバイスのSurface Hub、新カテゴリのHoloLensなど、各ジャンルの製品ラインナップは当面維持されるだろう。大きく整理されるのは、1つのジャンルで何十もの製品ラインナップを抱える携帯電話事業のみだということだ。Microsoftの方針は「ハイエンドモデルで市場やデバイスの方向性を示しつつ、市場攻略はサードパーティに任せる」というシンプルなものだと考える。
部門自体は人員整理か
Surfaceなどデバイス事業は当面続くとみられるが、部門自体に人員整理が入る可能性は考えられる。Wall Street Journalによれば、Microsoftは昨年2014年7月に1万8000人の人員削減を発表し、さらに今回の発表で既存の11万8000人のうち7800人をさらに削減することになる。
昨年と今年の人員削減合わせて2万5800人となるが、このうちの多くはNokiaの携帯電話部門買収でMicrosoftに移籍してきた人員だといわれている。Microsoftによれば、3万2000人の人員が買収完了のタイミングで移籍見込みだと2013年9月の時点で説明している。
Bloombergによれば、今回の人員削減でフィンランドだけで2300人が職を失ったとされており、混迷する欧州経済情勢で大きな問題となるだろう。一方で人員削減の波は米国内にも吹き荒れており、H-1Bビザによる高度技術を持つ外国人労働者を多く抱えるMicrosoftがこうした大規模な人員削減を米国で行うことに対して批判を行う上院議員がいるなど、単純に影響範囲は携帯電話事業に留まらない様子をうかがわせる。
Microsoftは何をしたいのか
ここからは筆者の予想だが、携帯電話事業で多くのエンジニアが職を失う一方で、主にマーケティングやセールス部門を中心にかなり人員削減や配置換えが行われ、Microsoft全体でスリム化によるコスト削減が実施されているのではないかと考えている。
Microsoftでは地図サービス運用における一部業務のUberへの移管やAOLとの提携によるディスプレイ広告事業からの撤退、さらにはMSN関連サービスの見直しに着手しているが、先ほど「無事」だと説明したSurfaceやXbox Oneなどのデバイス事業においても、必要最低限を残してリストラを進めている可能性が高い。
Bloombergも指摘しているが、同社は運営コスト削減が計画通りに進んでいない現状を今年4月のタイミングで報告しており、最も顕著だった携帯電話事業を中心に全体にメスを入れている段階なのかもしれない。