ミッドレンジ以下の端末はサードパーティに?

現在、Windows Phoneの市場はMicrosoftのLumiaでシェア全体の9割以上を占めているといわれ、サードパーティのスペースがほとんど存在しない状態となっている。

だがWindows Phone 8.1以降のリリース条件緩和策やQualcommのリファレンスデザインであるQRDの採用により、新興国を中心に主にサードパーティによるミッドレンジ以下の端末で市場が少しずつ形成されつつある。

また今秋のWindows 10 Mobile登場をにらみ、これまでWindows Phoneの市場から実質的に撤退状態にあった新旧サードパーティらが再参入を進めつつあり、日本でもマウスコンピュータが「MADOSMA」をリリースしたことは記憶に新しい。おそらくは、2015年の年末商戦のタイミングではLumiaのハイエンドモデルを筆頭に、ミッドレンジ以下の穴をこれらサードパーティ製品が埋める形でのラインナップ展開となるだろう。

ローエンドはサードパーティーに? 写真はサードパーティー開発のWindows Phone「MADOSMA」

こうした情勢を見越しての措置かは不明だが、Microsoftでは現在サードパーティ向けの「Windows 10 Mobileへのアップグレードが可能なWindows Phone 8.1」のスペック要件で、ミッドレンジまたはローエンド向けのプロセッサの利用しか認めておらず、Windows 10 Mobileのプリインストール製品については「ローエンドのみ」という条件を設定している。これは来年2016年以降に順次緩和される見込みだが、ハイエンドのフラッグシップをLumiaが担いつつ、それ以外をサードパーティ製品で固める布陣ができあがりつつある。

「ハイエンドがLumiaに限定されるのは、サードパーティにとって不利な条件ではないか?」という疑問もあるが、AdDuplexが示す2015年6月のWindows Phone市場のデバイス別シェアのデータによれば、ハイエンドに相当するLumiaの800番台以上のデバイスはLumia 920とLumia 925の2種類合わせてわずか6.5%で、おそらくハイエンドの比率は全体の1割程度とみられる。つまり現状のWindows Phoneの市場は、ほぼミッドレンジとローエンドで構成されており、「ハイエンドモデルで市場やデバイスの方向性を示しつつ、市場攻略はサードパーティに任せる」というのが今後のMicrosoftの作戦だといえるだろう。