既報の通り、米Microsoftは7月8日(現地時間)に携帯電話ハードウェア事業のリストラ策を発表し、関連人員7800人の削減と76億ドルの減損処理を行う計画だという。実質的に同社が2013年9月に発表し、翌年2014年4月に買収が完了したNokiaの携帯電話部門(Nokia Devices and Services: NDS)の大部分をそのまま手放すこととなった。Windows PhoneやSurfaceはどうなるのか。
デバイス部門縮小で、今後のLumiaはどうなる?
米Microsoft CEOのSatya Nadella氏が従業員に宛てて出したメールを要約すると、引き続き"携帯電話を含む"ファーストパーティのデバイスにコミットする一方で、直近では注力分野を絞っていく計画だという。単体の携帯電話事業として成り立たせるよりも、Windowsエコシステムの特色を活かした製品ラインナップに再編していくようだ。
具体的には、「ビジネスユーザー向けに最高の管理機能とセキュリティ、生産性を享受できる製品」「値頃な携帯電話を求めるユーザーに各種通信サービスを提供できる製品」「Windowsファンに向けて相応しいフラッグシップデバイス」という形で、3つのカテゴリを想定している。
Bloombergが関係者の話として伝えたところによれば、これまで市場ごとに細かくリリースされていた製品種別を一気に絞り込み(キャリアごとの細かい差異なども合わせると年間50近い製品がリリースされていたようだ)、上記「ビジネス」「バリュー」「フラッグシップ」の3つのカテゴリそれぞれに対して年間1~2台程度のリリースを想定しているという。また、この施策に合わせ、これまでシェア獲得で芳しくなかった地域やキャリアからの撤退も行うことになる。この方針に沿えば米国も市場撤退対象になるが、市場規模もあり米国のみ例外になると関係者は語っている。
これにともない、拠点の統廃合も進められる。Bloombergが入手したWindowsチームを率いるTerry Myerson氏のメモによれば、フィンランドのサロ(Salo)にあるハイエンド製品向けの拠点は閉鎖され、同国での技術拠点はNokia本社のあるエスポー(Espoo)とタンペレ(Tampere)に集約される。米カリフォルニア州サンディエゴの拠点も閉鎖され、中国の北京では人員削減を行うと同時に、バリューセグメント向け端末開発と他のデバイスメーカー(OEM)との連絡拠点として位置付けられる。
これら削減策が最終的に実施されるタイミングは不明だが、少なくともMicrosoftでは、今年3月に開催されたMobile World Congressのタイミングで、2015年内にLumiaのハイエンド端末を1~2機種リリースする計画を発表しており、このプロジェクトはそのまま継続されるとみられる。一方でミッドレンジ以下の端末についてはラインナップを再編しつつ、来年2016年以降に順次リリースされる形となるだろう。