画質に関しては、今さらくどくどと語るまでもないだろう。コントラストがやや高めで立体感が際立つクリアな画は、多くの人が美しいと感じる画質。メーカーによれば、映像エンジンはX-T1と同じものを使用しているそうで、確かに、撮影結果から受ける印象は高感度処理も含めてX-T1と似ている。

高感度域は、ISO 3200までは常用できそうだ。状況によっては6400でも十分に行けるだろう。どこまでをOKとするかは人によって判断基準が異なるので、あとは作例を見て判断してほしい。ただし、この作例はカメラにとって厳しめの(暗い)環境で撮影しており、その点は考慮してほしい。そう考えると、ISO 1600時のまとまりの良さに驚かされる。

1/10秒 f8 ISO 1600
EXIFの数値からは考えられない美しさ

1/20秒 f8 ISO 3200
高感度撮影するべき場面なら、ここまでは問題なく使えそうだ

1/28秒 f2 ISO 6400
スポットライトが当たるステージなど、状況次第では使えそう

1/56秒 f8 ISO 12800
参考程度に

X-T10の高画質には、冒頭で書いたようにXレンズの高性能も大きく貢献している。XF18-55mmF2.8-4 R LM OISも、キットレンズの概念をひっくり返すような表現力を持つレンズで、今回の作例撮影を実に楽しいものにしてくれた。街角のスナップから夜景、動体撮影、そしてポートレートと、標準ズームのあらゆる用途を高次元でこなす万能レンズである。

惚れ惚れする描写を見せてくれるキットレンズ、XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS

18mm 1/60秒 f5 ISO 320
35mm判換算で27mm相当

55mm 1/60秒 f5 ISO 400
35mm判換算で82.5mm相当

X-T10の実勢価格は本体が9万円前後、レンズキットで12万円前後(2015年6月23日現在。筆者調べ)。XF18-55mmF2.8-4 R LM OISだけでも5万円前後で販売されていることを考えると、レンズキットは申し分ない価格設定だ。

ちなみに筆者は、Xシリーズはその肌色再現性の高さと滑らかな質感表現能力から、人物が被写体でこそ本領を発揮するカメラだと思っている。Xマウントには、ひときわ美しいボケを生み出すアポタイゼーション・フィルターを採用した「XF56mm F1.2 R APD」があるのも魅力。こちらも、X-T10とのコンビネーションでぜひ使ってみたいレンズである。

(機材撮影:青木明子)

55mm 1/60秒 f4.5 ISO 250

55mm 1/60秒 f4 ISO 320

18mm 1/60秒 f4 ISO 320

55mm 1/75秒 f4 ISO 200

55mm 1/150秒 f5.6 ISO 200

18mm 1/170秒 f5.6 ISO 400

18mm 1/420秒 f6.4 ISO 400

55mm 1/45秒 f4 ISO 800

18mm 1/100秒 f4 ISO 200

18mm 10秒 f14 ISO 200

多重露光モードで撮影。先に撮影したイメージが薄く画面に残るので、仕上がり時のイメージを使い見やすい

18mm 1/30秒 f2.8 ISO 1250

アドバンストフィルター1で撮影

アドバンストフィルター2で撮影

フィルムシミュレーションはメニューからでなく、ショートカットから呼び出すことで、プレビューを適用しながら撮影できる

アドバンストSRオート時のフィルムシミュレーション。ぐっと種類が減り、ウリの一つであるクラシッククロームも選べない。その割に、マニアックなモノクロのフィルターバリエーションが選べる

顔キレイナビのオプションとして選べる「瞳AF」の設定。右目と左目を判定し、優先してフォーカスする。精度も高い

スマホのアプリと通信するWi-Fi機能を搭載。NFCには対応していない

メカシャッターは1/4000秒までだが、電子シャッターを採用したことで1/32000秒まで対応できるようになった

内蔵フラッシュはコマンダー発光も可能