実質的に「ソフトバンク縛り」? 少々わかりにくいLTEモデルの位置付け
日本版オリジナルのトピックとしては、個人市場向けにはWi-Fiモデルが供給されず、LTE版のみが提供される、ということだろう。これは、個人市場向けモデルの全量をワイモバイルが取り扱うことに伴うものである。
LTEモデルのみとはいえ、もちろんWi-Fiも備えており、LTEを一切使わず通信することもできる。また、ワイモバイルから販売されるとはいえ、現金一括払いであれば(すなわち、普通のPCの買い方と同じだ)、ワイモバイルとの通信契約を行わずに購入することも可能だ。
SIMカードスロットは、タイプカバーがくっつく本体底面にあり、サイズはnanoSIMカード。本体はSIMフリー設計で、ワイモバイルとその親会社であるソフトバンクのSIMはもちろん、他社のSIMを挿して使うこともできる。
実際、NTTドコモのMVNOであるIIJmioのデータSIMを挿し込んでみたが、問題なく通信が行えた。試用期間がまだ短いため、ワイモバイル回線とMVNO回線での差は見えてこないのだが、どちらも十分以上に快適であると感じた。
ただし、日本国内向けのLTE通信のサポートは、すべてソフトバンクとワイモバイルの回線でのみ行われる。動作確認も、いわゆる技適の審査も、ソフトバンク系回線で使われているLTEのBand 1(2.1GHz)/3(1.7GHz)/8(900MHz)、3GのBand 1/8のみで行われているという。
端末そのものはLTEがBand 1/3/7(2.6GHz)/8/20(800MHz)、3GがBand 1/2(1.9GHz)/5(850MHz)/8に対応しているのだが、ソフトバンク系以外でサポートされている帯域はあくまで、海外での利用やローミング利用のためのもの、という建て付けだ。
このあたり、実質的には「ソフトバンク・ワイモバイル縛り」のための施策であり、あまりいい気持ちはしない人も多かろう。
ワイモバイルで買えることはマイナスばかりではない。契約を同時に行うことで、割引きや割賦販売ができるからだ。円安の影響もあり、Surface 3は以前に比べ割高な印象を受ける製品になっている。本記事でお勧めする4GBのモデルを選んだ場合、キーボードやペンを含めると12万円を超え、タブレットというよりPC、というイメージの価格になる。購入のハードルを下げる施策として、通信回線とのバンドル販売は魅力的な選択肢だ。だからこそワイモバイルは、妙な策を弄さず、「我々ならばセットで安価に手に入る」ことだけを推しても十分だったのでは、とも思うのだ。