機器間の通信を司る「Weave」

Brilloと並んで発表されたのが「Weave」と呼ばれる通信プロトコルだ。通信プロトコルとは、簡単に言えばネットワーク上で機器同士が通信を行うための言語のようなもの。その機器が送られたプロトコルを理解できなければ、言葉がわからないように通信ができない。インターネットでさまざまな機器の多彩なウェブブラウザが、全部同じウェブページに到達して表示できるのは、共通の「http」というプロトコルがあるからだ。

IoTの場合、まだ市場が立ち上がり始めたばかりということもあって、プロトコルはまったく定まっていない。それでもすでに市場に出ている製品はちゃんとスマートフォンとつながって制御できているじゃないか、という人もいるだろうが、それらはすべて専用の制御アプリと接続していないだろうか? たとえば色や明るさをアプリで制御できるLED電球はいくつも登場しているが、それらは同じ機能を持っているのに、すべて別々のアプリで制御しなければならない。製品を買い増すたびに制御アプリも増えていたのでは面倒なことこの上ない。

アップルはiOS 8で、こうしたIoT機器を制御する共通の仕組みとして「HomeKit」を用意し、これに対応したアプリは共通のアプリで自動的に検出され、グループ化したり、制御できるようになる。具体的には、このやり取りにHomeKit Accessory Protocol(HAP)というプロトコルを使っている。

HomeKitはIoTの接続と設定、グループ化、セキュリティ、Siriによる制御など、多くの機能を提供するフレームワークだ

Weaveが担うのは、まさにiOSのHomeKitと同じ役割、またはそれ以上だ。WeaveではBrilloを搭載したIoTとスマートフォンだけでなく、IoTとクラウド、スマートフォンとクラウドなどの接続およびデータのやり取りも受け持つ(おそらくIoT同士の通信も可能にするだろう)。Android OS上のBrillo対応アプリで、ネットワーク上のWeave対応機器を自動で認識し、グループ化したり、オン/オフや各種調整といった設定を変更できる。

Weaveでは相互の接続に加え、データをやり取りする際の型(スキーム)も定義される。クラウドとも直接やり取りできるようになる

WeaveのデモではHomeKitのように共通インターフェースでIoTをグループ化し制御する様子が示された