2020年、NTTドコモが5Gを商用開始予定。その前、そのあとの技術

まずは携帯電話系の通信技術。現世代の4Gについて、本来、LTEは3.9Gだ。Advance LTE以降が4Gなのだが、宣伝が先走ってしまった感がある。そして次に来る5Gでは、さらなる広帯域と、複数の電波帯を使い分けるという、高度な技術と制御が必要だ。5G以前、あるいはそのあとを想定した面白い展示があった。

NTTドコモは、従来のLTEやVoLTEで使われている音声コーデックの次として、EVS(Enhanced Voice Services)を紹介していた。電話はもともと、300Hz~3.4KHzという狭い周波数帯しか伝えない(昔の黒電話からずっと同じ古典的な)もので、標準フォーマットとしてAMR(Adaptive Multi-Rate)というコーデックを採用していた。コーデックとは音声を圧縮、展開するための規格だ。

2014年に商用サービスが始まったVoLTEでは、新しいコーデックのAMR-WB(Adaptive Multi-Rate Wideband)を使用して、2倍の周波数(50~7KHz)を達成。当時は音が良いとアピールしていた。しかし、これは今回紹介するEVSの3GPP承認が間に合わなかったからだ。EVSでは、50~14KHzというさらに倍の周波数を伝えることができる。一方、必要なデータレートはあまり変わらない。

NTTドコモのデモでは、AMR:12.1kbps、AMR-WB:12.65kbps、EVS:13.2kbpsの音をヘッドフォンで聞かせることで、音の良さをアピールしていた。帯域がCDよりも狭いため、FM放送なみという表現をしていたが、今後の普及に期待したい。

【左】NTTブース。5Gで使われる60GHzのミリ波通信は、WiGigや次世代TranferJetでも用いられている。詳細は省くが、NTTブースでも60GHzを使った転送デモが行われていた 【右】20014年末に標準化された最新コーデックのEVS。現在のVoLTEで使われているAMR-WBと比べて、さらに2倍の帯域を伝えることができる。端末での採用が広がれば、VoLTEの音質も向上するはずだ

【左】ヘッドフォンで聞かせながら、スペクトルチャート表示するデモ。VoLTEで使われているAMR-WBでは、12.65kbpsで転送中 【右】EVSを13.2kbpsで再生中。周波数帯が倍に広がっており、音楽再生が実用的になるのが視覚的にも分かる