マルチキャリアMVNOを選ぶメリットはあるか

マルチキャリアMVNO化により、mineoではau、ドコモという2つのキャリアを選択できるようになるわけだが、今の所は1契約で両方の回線を同時に契約して切り替えられるわけではない。ならば、ユーザーの視点から考えた時、はたしてメリットはあるのだろうか?

海外でのマルチキャリアMVNOの事例を考えたとき、サービス提供エリアが狭かったり、未だに2Gのみのキャリアが残っているなど、必要に応じて複数のキャリアを切り替えたい事情がある。また、地続きで複数の国がつながっており、それぞれの国ごとに別のキャリアがサービスを提供しているケースもある。こうしたケースではデュアルSIM対応端末に3G/LTE用と2G用など、複数のSIMを刺して使い分けることが多い。

日本の場合、各キャリアでそこまで極端に利用可能なエリアの差はない。また、デュアルSIM端末もASUSの「ZenFone 2」など一部のSIMフリー端末として提供され始めているが、残念ながら3G/LTE同士でのSIM切り替えはできない。そもそも、auとドコモでは3Gの通信方式やLTEで利用する周波数帯(バンド)が異なるため、端末もそれぞれのキャリア向け専用端末になるのがほとんどだ。

こうしてみると、案外マルチキャリアMVNOという点には、現時点ではあまりメリットがない。説明会の中で構想が公開された、1つのSIMでauとドコモを切り替えられるようになってからが本番だろう。むしろmineoを評価するのであれば、最低契約期間がなかったり、契約不要でお試し的に利用できるデータ通信専用のプリペイドSIMがある、auとドコモ間でパケットの共有が可能など、サービス面での特徴で評価したいところだ。