AFの体感速度は、AFセンサーが同等だけあってほぼ同じ。以前のEOS 8000Dレビューで試用したベータ機ではAFに若干のもたつきを感じたが、製品版ではまったくストレスのない速度に仕上がっている。むしろ、70Dよりスパッと食い付き、その後もヘンに悩まない(考えない)ように感じる。

8000Dはピント精度も高い。特に左右端のAFポイントにおいては、筆者個人所有の70Dより高精度な合焦性能を確認できた。ただ、70Dが持つ被写体追従特性の設定やAFマイクロアジャストメント(ピント微調整)などの豊富なAF設定は行えず、測光モードの切り替えも専用ボタンを持つ70Dのように素早くは行えない(タッチパネルのコマンド一覧から呼び出せるので、それほど面倒ではないが)。

ハイブリッド CMOS AF IIIのおかげで、AFポイントの隅まで速度、精度ともに高いAFが可能

親指AFボタンや絞り込みプレビューボタン、機能をカスタマイズできるファンクションボタンも8000Dにはない。これらダイレクトなUI、つまり設置されているボタンの多さや各機能の柔軟なカスタマイズ性は、70Dと8000Dの「クラスの違い」をもっとも明確に感じられる部分だろう。

とはいえ、8000DのUIにも工夫はある。両機とも背面のサブ電子ダイヤルは十字キーにもなっているが、70Dが純粋なメニューやカーソル操作のためのキーとしているのに対し、8000DはKissシリーズやコンデジに似た操作性を取り入れている。具体的には、十字キーの上キーは「ホワイトバランス選択」、下は「ピクチャースタイル選択」、左は連写やタイマーなどの「ドライブモード選択」、右はワンショットAFやAIサーボAFなどの「AF動作選択」のショートカットを割り当てているのだ。Kissシリーズとは違った上位機種寄りのUIを持ちながら、Kissの操作性の良さも兼ね備えているのである。

上位機種のサブ電子ダイヤルとKissの十字キーの要素を取り入れたコントローラー

十字キーの上キーには「ホワイトバランス選択」が割り当てられている

十字キーの下キーを押すと「ピクチャースタイル選択」

十字キーの左キーは連写やタイマーなどの「ドライブモード選択」

十字キーの右キーはワンショットAFやAIサーボAFなどの「AF動作選択」

そして、シャッター音。こればかりは嗜好の問題もあり、ひと言で優劣を語るのは難しい。ただ言えるのは、8000Dのほうが低音ということだ。その音を文字で表現するなら、70Dの「カタッ」という明るく乾いた音に対して、8000Dは「コトッ」となる。連写時は70Dが「カタカタカタカタカタカタカタ」で、8000Dが「コトコトコトコトコト」だ(70Dは秒間7コマ連写、8000Dは秒間5コマ連写)。エントリー機の方がシャッター音が低い、という結果は実に意外だ。

ちなみに、シャッター速度の最高値は70Dが1/8000秒で8000Dが1/4000秒。あなたがもし、開放F値の小さなレンズで被写界深度の浅い撮影を屋外ですることが多いなら、太陽が眩しくなるこれからのシーズンは特に70Dの方が安心かもしれない。