孫社長は、テクノロジー企業には30年で成長が停止するするライフサイクルがある、との持論を展開。30年を超えるソフトバンクもそうした停滞を避けたい意向で、起業家集団と経営を行うことで、「野心あふれる起業家」を継続していこうという考えだ。

国内の通信事業は、SIMロック解除義務化にも「総務省の方針通りに行う予定」と孫社長は冷静なコメント。「一瞬たりとも手を抜くわけにはいかない」(同)とは言うものの、すでに興味は「第2のソフトバンク、世界のソフトバンク」にあるのは間違いないだろう。既存ビジネスが投資の原資となるだけに、アローラ氏も移動通信事業は重要視する考えを示しているが、「大きな変動が急激にやってくるというのは、しばらくの間は考えにくい」(同)として、当面は自ら競争をしかけるという段階にはならなそうだ。

孫社長の世界戦略は、もともとのソフトバンクの本業に立ち返ったという見方もできる。ソフトバンクはそもそも通信事業者でもなかったわけで、本来の主戦場を世界規模に拡大して回帰していったということだろう。孫社長は、人も文化も違う海外に日本のサービスを持ち出しても成功しないという考えで、現地の起業家のサービスを支援して、ともに成長を目指していくような投資を進める。アローラ氏と二人三脚で「世界のソフトバンク」を作り出すことができるか。今後の戦略に注目したい。