――では、俳優再開についても聞かせてください。デビューからは今年で11年、27歳になられてご自身の中で俳優や演技というものについて何か変化はありましたか?

休業前は一つひとつの、目の前にある仕事に全力で臨むことが第一だったので、実はドラマや映画はあまり観られませんでした。そういう中でも洋画だけは純粋に楽しめていましたが。

――邦画やドラマはあえて避けていた?

そうですね。日本の作品は現実逃避というか、どうしても自分だったらどう演じるのか、どう役づくりをするか――勉強の側面が強くなってしまうので、避けていたのかもしれません。その反動もあったのか、逆に休業中はいろいろな映画やドラマ、舞台を観てきて、とても勉強になったので、当時よりも学びは多かったと思います。

――その中で印象に残っている映画やドラマはありますか?

韓国映画の『チェイサー』(2008年)や『哀しき獣』(2010年)という作品はかなり好きでしたね。警察と犯人の男臭い話ですが、『チェイサー』で追う側(警察)と追われる側(犯人)の配役が、『悲しき獣』ではそっくり入れ替わって逆になるんです。それでいて、全然違う人物に見えるので感心しました。物語や構成が面白いことも含めて、俳優さんの力量が全面に出た作品で、エンターテイメントとしての面白さと自分への学びが両方あって勉強になりました。

――休業していた2年間で、芸能界にまた戻りたいという思いは?

願望はあったと思います。演技やお芝居はやっぱり好きですし。ライダーもそうですけど、どうしても観てしまうので。ただ、それを重く考えすぎると、緊張やプレッシャーがより膨れ上がってしまう……ネガティブに考えてしまう方なので、重たく考えるのだけはやめようと。

―― 一度芸能界から身を引いてから再開するというのは、かなり勇気のいる決断だったと思いますが、中村さんを一番後押ししたものとは何でしょう?

親とファンだと思います。親は休業から再開と本当に温かく見守ってくれたので、感謝していますし、これから恩返ししていくつもりです。そして、ファンの皆さんについては、長い間待ってくださって、本当にありがとうという気持ちでいっぱいです。休業中もブログにたくさんコメントをいただいて……本当に励みになりました。ファンの人たちには「応援してよかったな」「あいつががんばっているから私もがんばれる」みたいな、そんな気持ちになっていただけたらこんなにうれしいことはないです。

マネージャーといつも話していますが、謙虚さと感謝の気持ちを忘れずにがんばっていきたいと思っています。俳優としては、歳も歳になってきたので、ヒゲを生やした男臭い役にも挑戦したいですし、お芝居を磨き抜いてがんばっていきたいですね。

――芸能界で活躍されている方々には皆ファンはついているものですが、中村さんのブログのコメントを見ていると、普通の芸能人のファンよりもさらに熱いものを感じます。

親目線なのかも。舞台あいさつでも僕が話す時に「大丈夫かな……」という目線で見てくれていると思うんです(笑)。授業参観に来ている親のような感覚で「うちの息子大丈夫かしら……」という見守りに近いものがあるような気がします。みんなデネブ目線みたいな(笑)。

――デネブ目線(笑)。中村さんにぴったりな表現だと思います。では、ファンの皆さんへのメッセージとデネブに対して侑斗の立場から一言。

デネブに対しては「これからも見守っていてくれ……な」
ですかね。あ、これファンに対してのメッセージにもなりますね(笑)。

――確かに(笑)。最後に後日譚となる『dビデオスペシャル 仮面ライダー4号』についても見どころなどがあれば、教えてください。

こちらでもゼロノスはかなり物語の軸に入り込んでいます。特に半田さんが演じる乾巧/仮面ライダーファイズとの絡みが多い。後は純粋にファンとして、4号の松岡さんの声がどう表現されているのか楽しみです。デザインも空軍っぽいというか、ライダーらしさとらしくない部分が両方あって。

デネブとの絡みで言うと『dビデオスペシャル 仮面ライダー4号』の方が多いかもしれません。「ベガフォーム」も登場しますし。僕はやっぱり「アルタイルフォーム」がお気に入りではあるんですけど、ベガフォームも捨てがたい……。『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』と『dビデオスペシャル 仮面ライダー4号』は、ぜひセットで観て欲しいですね!

■プロフィール
中村優一
1987年10月8日生まれ 神奈川県出身。2004年7月に「第1回D-BOYSオーディション」でグランプリを受賞。2005年『仮面ライダー響鬼』桐矢京介役、2007年『仮面ライダー電王』桜井侑斗役を務める。2012年9月に芸能界から一時引退を発表するが、2014年8月に俳優業再開。復帰第一作として『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』に桜井侑斗役で出演。

「スーパーヒーロー大戦GP」製作委員会
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