本当にSIMロック解除は必要だったのか?

ここまでお読みいただいたように、SIMロック解除についてはメリットもデメリットも両方ある。もはや5月から動き出すことが確定しているだけに、今更「必要か」という議論は無駄なのだが、「SIMロック解除で誰もがハッピー」というわけではないことはご理解いただけたかと思う。

中長期的に見れば、SIMロック解除による影響も(たとえばMVNOのさらなる台頭など)見られるだろうが、筆者自身は多くのユーザーは結局SIMロックを解除せず、今までどおり縛りのある契約で端末を購入し続けるだろうと考えている。たとえば今MVNOを選んでいるようなリテラシーが高いユーザーはまだまだ少数派だし、今後も爆発的に増えるとは思えないからだ。海外で端末を利用する人もそこまで多いとは考えにくく、結局のところ、大騒ぎした割に影響は小さいのではなかろうか。

しかし、キャリアにはこれを機に、さまざまなコストを既存の契約者に被せて割高になっている通信費を適切な額に下げ、まっとうなサービスの提供に励んでほしい(MVNOの価格を見れば、下げる余地はいくらでもあるはずだ)。また、端末メーカーには世界中どこでも使える、フルバンド対応の魅力的な端末を作ってもらいたい。本来、周波数帯がどうの、SIMがこうの、といった知識はユーザーに必要ない。使いたいところで使いたいサービスを確実に使える、そのような端末を作る実力が日本のメーカーにはあるはずだ。