なぜSIMロック解除が必要なのか?

SIMロック解除は総務省が長年取り組んできた、同省の悲願ともいえる案件だ。そもそも、総務省はなぜ、それほどまでにこだわってきたのだろうか。背景を振り返ってみよう。

これまで3大キャリアから販売されてきた携帯電話やスマートフォンは、端末とSIMがひも付けられており、そのキャリア以外のSIMカードが挿入されても利用できない、いわゆる「SIMロック」という仕組みがかけられていた。このため、ユーザーはキャリアを乗り換える場合、端末ごと買い換えねばならない。中にはSIMを返却すると、ワンセグなど通信部分と無関係な機能が使えなくなることもあった。

これは端末をキャリアが買い上げて販売する代わりに、キャリアの要求するスペックの端末をメーカーが開発するという、垂直統合的な形態をとってきた日本の携帯市場独自の問題だ。端末とSIMがひも付けられていることで、ユーザーの囲い込みが容易になると同時に、キャリアのメーカーに対する影響力が強くなりすぎ、メーカーの端末開発力が低下するという指摘もあった(事実、その後の日本の端末産業は衰退した)。

また、海外に端末を持ち出したとき、SIMロックがかかっていなければ現地のSIMを刺すことで海外の通信会社と契約できるが、SIMロックがあるとこれが行えず、割高なローミングサービスを使わねばならない。通信規格の違いもあるので一概には言えないが、これもSIMロックを解除できれば自由度が増すはずだ。

SIMロックが解除されれば、ユーザーは好きな端末で利用スタイルに合ったキャリアを選ぶ自由が手に入り、競争を促進することができ、国産端末の国際的な競争力も増す……というのが総務省の言い分だ。