――それはすごいですね。しかし、グッドスマイルカンパニーさんといえば、これまでは「ねんどろいど」にしろ、それ以外の商品にしろ、どちらかといえば大人向けだったイメージがあります。
おっしゃる通り、明確に女児向けコンテンツの商品を販売するのはグッドスマイルカンパニーとして初めての試みとなります。
――新規開拓というわけですね。かなり思い切った舵取りにも思えますが……。
そうですね。といっても、女児向けオンリーというわけではないんですよ。『プリパラ』は子供向けですが、大人にもファンができるだろうと予想はしていました。なんといってもキャラクターが可愛いですからね。もっと、ざっくばらんに言うと、私が『プリパラ』に興味を持ったんだから、他の大人も好きになるはず、と(笑)。子供向けコンテンツを大人が楽しむという流れは昔からありますからね。
――つまり、これまでの「ねんどろいど」ファンもターゲットではあると。
そうですね。そういう意味で完全に新規層狙いというわけでもないのです。従来の層に加えて、私たちが今まで持っていなかった新しい層に届けるという2通りのルートを考えています。
それからもう一つ、「ねんどろいど」が少しずつ子供に認知されてきたこともあります。最近になって、「初音ミク」が子供向けに展開されることが増えているのですが、その流れで『ねんどろいど 初音ミク』を子供たちが楽しんでくれていると聞いています。「ねんどろいど」のデザインって、子供も喜んでくれるんだなと感じていたところに今回の話があり、それなら思い切って子供向けにもやってみようと考えました。
グッスマの課題と玩具の事情
――なるほど。ところで、どうして「ねんどろいどこ~で」だったのですか? これまで通り「ねんどろいど」で女児向けに発売するというやり方もあったのでは。
いくつか理由があります。まず、グッスマの課題の一つに、「ねんどろいど」をより安くして買いやすくしたいという思いがあったことです。というのも、初期の「ねんどろいど」は3,000円くらいだったのですが、現在は4,000円代が標準です。理由は様々ありますが、現状どんどんクオリティがアップし、付属品も豪華になる傾向にあるため、どうしてもコストが上がっています。しかし、それでは子供向けの玩具としては高いのです。
――たしかに世間の玩具の価格を考えると、4,000円台はけっこう高額かもしれません。
3,000円でもまだまだ高いですね。子供向け玩具に実際にお金を出すのは親です。親の目は非常にシビアで、2,000円台でもまだ高額な部類に入ります。
――「ねんどろいどこ~で」は2,222円(税別)ですよね。
なんとか2,000円台に設定しました。コスト面との兼ね合いも考えながらの、ギリギリの価格設定でした。
――どの部分でコストカットができたのでしょう?
コストを下げるにはパーツを少なくするのがわかりやすいですね。なので、固定ポーズの「ねんどろいど」を作るのが手っ取り早い。しかし、ただ固定にするだけでは、「ねんどろいど」をグレードダウンさせただけの商品でしかありません。クオリティ自体は絶対に下げたくなかったので、仕様をばっさり変更することにしました。
パーツを減らしてコストを下げながらも、着せ替えの楽しみを加えることで、「ねんどろいど」にはない遊び方を提案できる。「ねんどろいど」の廉価版ではなく、まったく新しいブランドとして展開できるので、従来の「ねんどろいど」ファンにも新鮮な気持ちで楽しんでいただけると思います。