また、ラピン氏は、新たな経営体制について言及。「私は7年前に日本にきたが、この間、大きな変革が行われた。コンシューマ事業を立ち上げ、NECパーソナルコンピュータとジョイントベンチャーを開始し、事業は10倍に拡大している。そして、これから、進化の新たなステージに入っていくことになる。外国人の社長から、日本人のトップへと交代する。新社長の留目には、個人的にも大きな信任をしている。実績も確かである。グローバル企業の経験もある」などとした。
「NECパーソナルコンピュータとのジョイントベンチャーは、当初の5年間という契約から、期限を設けない形に延長している。NECブランドの製品については、縮小することは考えておらず、むしろ、さらに投資をしていく段階にある。LaVie Hybrid ZEROは、2015 International CESで24の賞を受賞した。日本のコンシューマ市場を最も良く知っているのはNECパーソナルコンピュータ。ユニークな技術や製品を、日本から世界に出していきたい」(ラピン氏)。
また、ラピン氏は、最新四半期である2014年度第3四半期(2014年10~12月)の業績についても説明。売上高は前年比31%増の140億9200万ドル、M&A関連費用を除く税引き前利益は前年比8%増の3億4800万ドルとなり、「日本およびアジアの成長性については明るい展望を持っている」としたほか、「PC事業の構成比は65%に留まり、モバイルが24%、エンタープライズが9%といったように、かつてない収益源の多角化が進んでいる。また、モトローラのスマートフォン事業、IBMのx86サーバー事業の買収などにより多様化しているものである」とした。だが、「PC市場は今後も成長を遂げていくと考えており、当社のサプライチェーンの強みや戦略を生かすことができる」とも述べた。
グローバルの新体制についても説明。Gianfrnco Lanci氏がCOOに就任し、製品および地域ごとの責任も担うこと、Gerry Smith氏がPCおよびエンタープライズを担当することを紹介。また、アジアパシフィック地域担当プレジデントに就任するラピン氏自身は、「グローバルに観点からも日本は重要な市場であると認識しており、東京にベースを置いて、アジア太平洋地域を担当していくことになる」とした。
新社長は留目氏、IT利活用を推進
一方、留目新社長は、「国内トップシェアのPCメーカーの社長に就任し、気が引き締まる思いである」と切り出し、「日本とグローバルの融合による『和魂洋才』を大切にし、これからも磨いていきたい。私自身、モノづくりを大事にしている会社を経験し、日本のモノづくりの手法を、世界で輝かせてきたという実績もある。レノボ全体のなかでもこれを生かしたい。こうした取り組みにより、企業を成長させ、日本経済にも貢献したい」などと述べた。
今年度は、2社合計の量販店シェアが39%に達するなど、年間を通じても過去最高のシェアを獲得する見通しであることも明らかにした。
また、留目氏は、自らの目標について、「2020年までにコンシューマ、法人のどちらにおいても、日本のIT活用力を世界最高レベルに引き上げる」と宣言。「これがトップシェアベンダーの役割である」と述べた。
NEC レノボジャパングループの現状認識として、「コンシューマ市場においては、PCやスマホは普及しているが、デジタル化すべきアナログ資産はそのまま。デバイスの用途は限定的であり、連携していない。この活用の部分を、トップシェアベンダーとして真剣に取り組んでいきたい。一方、法人市場においては、ICT導入は続けているが働き方は変わっておらず、生産性は低いまま。社内外のコラボレーションが不足しており、イノベーションが起こりづらい、グローバル化やM&Aにフレキシブルに対応できないという状況が生まれている。国際競争力がついてこないという課題があり、NECパーソナルコンピュータの知見を生かして、本当に必要のあるITシステムを提供していきたい」と語った。
ライフスタイル改革では「Digital Dramatic Days」、ワークスタイル改革では「Work Style Innovation」を掲げた。「ライススタイルにおいては、デジタルでもっとワクワクする日常を実現し、ワークスタイルにおいては、本当に意味のあるICTで日本のの各法人にもっと生産性、競争力を提供したい」(留目氏)。
また、NECパーソナルコンピュータが、日本の市場を理解し、日本人としてのモチベーションの持ち方を知り、日本でのモノづくりを行う企業であること、また、レノボ・ジャパンは、グローバルの多品種開発、展開のほか、ソフトウェアとICTツールを提供する企業であることを示しながら、「これは、私のバッググランドにも合致するものである。日本ローカルの特性を持ち、グローバルスケールによる経営や提案を進める」と述べた。