Appleが示した1つの大きな方針
もちろんマシンを乗り換えるのも出費ですが、今回はApple名物、「ポート類のちゃぶ台返し」が炸裂しておりまして。手持ちの予備を含むACアダプタ、USBケーブル類、ディスプレイケーブル類はすべてそのままでは使えなくなってしまいました。2,000円近くするiPhone用のLightningケーブルまでその地位を追いやるとは。もはや、MacBookにヘッドフォンジャックが搭載されて、お気に入りのイヤフォンがそのまま使えることの方が不思議なくらいです。
一応Appleも、ポートの進化形ということで、本体の充電、データ転送、ディスプレイ出力を1つでかなえる全く新しいUSB-Cポートを用意したのですが、アクセサリすべてを取り替える必要があるという、「仕様」。ハッキリ言って、全く使わせる気がない。そんな受け取り方をした筆者は意地悪でしょうか。使えないなら、使うな、ということ。これはAppleがパワープレーで推し進めようとしている本当の「ワイヤレス」の世界の実現へ、1歩踏み出したわけです。すなわち、Appleが言いたいことは、こういうことだ、と理解してます。
Wi-FiとBluetoothでなんとかしよう
インターネット利用で9時間というバッテリーの長さもありますが、USB-Cポートは基本的には電源に占有されるはず。すると、残るインターフェイスはヘッドフォン、そしてワイヤレス系のWi-Fiで802.11ac、Bluetooth 4.0ということになります。出先で使う分には今までとあまり変わりないばかりか、移動時の肩や腰への負担が減り、歩行距離が伸びてIngressが捗ることまでは予想できます。しかし、いざ何かを接続しようとすると、問題が出てくることでしょう。
残念ながら、デスクで愛用中のHappy Hacking KeyboardはBluetooth版が出ていないので、EnebrickというUSBキーボードをBluetooth化するガジェットを使うしかありません。トラックパッドは現在も、Bluetoothで接続して使っていますのでそのままで大丈夫です。その他、USBで充電しながら使っていたWiMAXルーターや、USBオーディオのスピーカー付きヘッドフォンアンプ、そしてSDカードで読み込んでいたデジタルカメラの写真とビデオなどが問題です。ルーターの充電はモバイルバッテリーに任せ、オーディオは有線もしくはBluetoothヘッドセットを使えば良いのですが、SDカードの写真はどうしよう……。一応、Wi-Fi搭載SDカードであるEyeFi Mobiカードを使っているので、iPhoneに無線で転送し、そこからiCloud Photo Libraryを介してMacへ、というまどろっこしい方法ながら解決の道筋はあります。MobiカードはMac/PC対応していないのですよね、残念ながら。
ただ、クラウドを使う前提になってきた時代、筆者が写真を扱う場合のような解決方法、回避方法が何らかの形で存在しているはずで、それを使えば別にポートの1つや2つ、消失しても問題ないじゃないか、ということでしょう。あるいは、「ほら、このあたりの不便を解決すればビジネスチャンスだよ、うちはやらないけど…」とAppleが誘っているかのような。深読みが過ぎるのでこの辺で。
出たら絶対買いたいスマートなUSB-Cドック
とはいえ、です。やっぱりいままでUSB 3.0ポート×2、Thunderboltポート、MagSafe 2電源ポート、SDカードスロット、HDMI端子がついていたMacBook Proを使っていたユーザーとしては、何らかの救済案が欲しいところです。例えば、MacBook本体のUSB-Cポートに接続して、充電用のUSB-Cポート、USB 3.0 Aタイプ×2ポート、SDXCカードスロット、ディスプレイポート×1の拡張性を確保できるUSB-Cドックがアクセサリが登場したら、間違いなく買いますね。
どこか、作ってくれませんかね。欲を言えば、Appleが提供する変換コネクタよりも安くて、キーボードと同じ真っ黒か、ボディカラーに合わせた色が選べると嬉しいのですけど。このドック、絶対便利だと思いますが、MacBookでAppleが目指す本当のワイヤレスの世界の思想には反するかもしれません。ただ、あるとないでは、初期の体験が大違いになりそうだな、ということもまた、容易に想像がつくわけです。