機能とリアルワールドの関係
ジョブスの死後、最初のモデルチェンジで、iPhone 4へと進化したiPhoneはそのディスプレイを3.5インチから4インチに拡大した。正直、このときのショックも大きかった。3.5インチというのは、ジョブスが「スマートフォンにとって絶対」と言っていたサイズだ。
言うまでもないが、スマートフォンのディスプレイというものは、単純に情報を表示するだけのものではない。それはスマートフォンを操作するユーザーインターフェースでもあるわけだ。
iPhoneは、ホーム画面に表示されるアイコンをタップすることで、アプリが起動される。片手で持ったときに、指が届く範囲は限られており、大画面になるほど指は画面の隅々に届かない。3.5インチのほうが4インチよりも画面全体に指が届きやすく、リズミカルに操作できる。
この操作感のリズムは3.5インチ時代のiPhone特有なものだ。
そして、iPhoneを単に何かできる「機能」的な存在ではなく、リアルワールドのなかで使いこなす「道具」的な存在にしている。
これは4インチディスプレイを搭載したiPhone 5/5sでは微妙に損なわれてしまった。これで、もはや限界だ。iPhoneをこれ以上大きくするのに僕が賛成できないのは、このiPhone独特のリズムが失われてしまうことが大きい。僕のセンスでは3.5インチから4インチでもまったく別物に劣化してしまっているのだから。