Appleは米国西海岸夏時間の3月9日10時から、サンフランシスコで開催したイベントは、堂々たるものだった。
個別に見ると、HBO Nowの独占配信、Apple TVの価格引き下げ、iPhoneを医学研究に生かすResearchKit、MacBook Air・13インチMacBook Proのアップデート、新型「MacBook」、そして、Apple Watchの発売日と価格が発表された。
全体を通して、Tim Cook氏がCEOに就いて初めて参入する製品カテゴリの立ち上げの「総仕上げ」ともいえる瞬間に立ち会ったという印象だ。
ちょうど3月18日の取引終了後から、Appleの株式は、米国のみならず世界の経済の指標として機能しているニューヨーク株式市場のダウ工業平均30種に組み込まれる。米国一の時価総額を誇る企業としての現在のAppleにとっては、やや遅すぎる小さな名誉も花を添えた。
Cook氏は破天荒ではないかもしれないが、正しいことを確実に実行することができるリーダーだ。特に新しく発表されたMacBookからは、これまでのAppleらしさと、iPhone時代・Cook時代のAppleの姿を垣間見ることができた。
すなわち、iPhoneの魅力と人気を、いかに他の製品に適用するか、という明確な戦略が、イベント全体に流れていたのだ。一方、Apple Watchには、将来的にiPhoneからいかに脱却していくか、というAppleの今後のチャレンジが垣間見られる。
MacBook:iPhoneと寄り添うカジュアルな「Mac」としての再発明
「ノートブック型コンピュータを再発明する」。このフレーズはMacBook Airが発表された際にも、Retinaディスプレイを搭載したMacBook Proを披露したときにも聞かれる、Appleとしてはおなじみのフレーズとなった。
その象徴的な存在となったMacBook Airは、ハードディスクも光学ドライブも、ネットワークポートも省いた薄型でミニマルなデザインを採用しながら、Appleで最も人気のあるコンピュータの座に輝いている。
Appleが、新たに発表したIntel Core MプロセッサとRetinaディスプレイを採用したモデルに、Intelプロセッサを採用してリリースした懐かしい名前の「MacBook」を再び採用したことは、「これが新しいスタンダードだ」と声高に告げるような意味合いを感じる。