有機ELも高寿命化、薄型を生かしたパネル化へ

LEDと有機ELを比べたとき、高演色性では有機ELが勝るとされてきた。一方、寿命や効率でLEDに劣るため、まだ実用的とはいいにくい。今回のライティングフェアでは、高寿命化への取り組み(4~5万時間となり実用レベル)や、使いやすさを追求するためのパネル・部品化の展示が見られた。

現在、有機ELの泣き所は、絶対的なパワーだ。出展社の一部からは、「有機ELも展示しているが、製品として利用するには明るさが足らないので、市販は当分できないかもしれない」という声があった。

Lumiotecの展示パネルから。有機ELの寿命に関してはそろそろ実用的だが、まだ光束が低い。400ルーメン超えが当面の目標とのことだ

山形県産業技術振興機構の展示。【左上】設計しやすいようにパネルをモジュール化している。【右上】ダイニングやオフィスでの利用例。シェフがイメージした色彩をテーブルで再現させるというのがポイント。【左下】色味が気になる人形制作の現場での利用シーン例。【右下】できた人形の展示も色味を生かし、かつ薄型性を生かして目立たない

パナソニックブースでの展示。【左】使いやすいようにモジュール化しており、非常に薄いことをアピールしている。【右】また、面光源なので光の当りがソフト。ディテールや影、透過の雰囲気が非常によいのが有機ELのよいところ

単に明るい、ハイパワーから質への変化

LED照明はこれまで、明るさや寿命をアピールしてきた。しかし、明るさは若干犠牲にしつつも「見え方」を変えたりと、市場の特性に合わせた高品質への移り変わりを感じた。演色性という数値は指標の1つだが、単にそれだけにはこだわらずに、キレイな明かりを選ぶために迷ってしまうような製品が増えてほしいものだ。

山田照明のZライトの新製品「Z-80PRO B」。従来品「Z-80」の高演色モデルで、Ra97のLEDを搭載している