実際のところ、筆者にとっては事前情報もあったためSamsung Payの発表自体はそれほど驚くことではなかったのだが、その後、MWCの2日の基調講演に登場した米Google製品担当SVPのSundar Pichai氏は「Android Pay」というサービスを準備していることを紹介した。基調講演の質疑応答の中で出てきた話題のため詳細については語られなかったが、今後数カ月以内に正式発表が行われるとみられる。

Android上に共通の決済用APIを用意し、これをサードパーティのアプリベンダーが利用できるようにする仕組みとのことだ。Googleは現在HCE(Host Card Emulation)という専用のセキュリティチップを利用しないNFCによる決済の仕組みを推進中の一方で、かつて決済サービス参入障壁となっていた携帯キャリア連合のジョイントベンチャー「Softcard (Isis Wallet)」を買収してSIMカードに決済情報を記録する方法を模索するなど、ここ最近の戦略には一貫性がないようにみられる。

そして今回のAndroid Payでは、これまで同社がAndroid標準では提供してこなかった「カード決済用API」をOS内部に実装してくるとのことで、各方面が注目している。今後数カ月かけて情報が徐々に出てくると思われるが、まずは5月に米サンフランシスコで開催されるGoogle I/Oに注目だろう。

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以上が筆者がMWCを2日半ほど俯瞰して見てきた全体のトレンドだ。「(実際に見て触って買いたい)わくわくするような端末やサービス」を探すのは難しいかもしれないが、携帯業界が確実に転換点にあることを示す兆候があちらこちらで散見される。月並みな表現だが、今後1年の業界の変化にぜひ注目していてほしい。