――続く「ANTIHERO」はどういったイメージの曲になっていますか?

LiSA「私は、目の前で見たもの、自分が知っているものを信じたいのですが、いろいろデリケートな問題もあったりするので、それについては、あまり表に出していかないほうがいいと思っているんですよ。自分がその場にいないこと、テレビの中からしか出てこない情報は、誰かが入手した情報を又聞きしているだけなので、それが本当なのかウソなのか、実際には何が起こっているのかを私自身では判断できないじゃないですか。それを、自分なりの解釈で、自分自身が拾ったかのように、自分自身が見たかのように、いわばヒーローのように語ることに私は疑問を持っていて、私はもっと自分の目で感じてほしいし、見てほしい。そして、その人が本当に言いたいこと、本当に伝えたいことを受けとりたいと思ってます。だから、そういうヒーロー気取りにアンチです、ということを言いたかった曲です」

――ヒーロー気取りに対するアンチなのですね

LiSA「私自身、ヒーローでありたいと思っていた時期もありました。でも、やっぱりヒーローじゃないんですよ。ブラックな曲も歌うし、アンチヒーローみたいな主人公になることもある。そして、その気持ちがわかる。自分の中で持っているから。だから正統派の悪を倒すヒーローではありえないなと思いました」

――続く「Bad Sweet Trap」の歌詞はセンパイとの共作のカタチになっていますが、これはLiSAさんが書いた詞をベースにセンパイを手を加えたという感じでしょうか?

LiSA「そうですね。でもその前に、そもそもセンパイがいつも変な仮歌詞をつけてくるんですよ。ちょっとわけがわからないような歌詞(笑)。センパイは音ノリをすごく大切にされているので、そのあたりから拾って、自分が書きたいことをまとめて、センパイに直してもらいました」

――言葉の音への載せ方はさすがセンパイという感じですね

LiSA「やはり歌っていて気持ちいいです。個人的なお気に入りは『ちょっと黙ってて』のところですね(笑)」

――ブラックテイストの曲が続いたあと、いきなりの「エレクトリリカル」はちょっと意表を突かれました

LiSA「『エレクトリリカル』は、すごく楽しく歌えた曲です。私にとっては、ガルデモがピンクへの入り口だったんですけど、その頃はまだ、こういう風に歌えばみんなが喜んでくれるだろうと思って歌っていた部分がありました。自分自身はそこまで楽しめてはいなかった気がします。でも、それも自分だと思えるようになり、自分の武器のひとつとして受け入れられるようになった今だからこそ、楽しんで歌えるようになったんだと思います」

――LiSAさんが楽しんで歌っているのが伝わってくる曲だと思います

LiSA「本当に歌っていて楽しい曲ですし、歌詞もすごく好きなんですよ。その中でも一番のツボは『1MB分 前髪切った』。1MB分ってどれくらい? って感じですよね(笑)」

――「君にピエロ」はLiSAさんが作曲も担当なさっていますが、これは最初から予定していたのでしょうか?

LiSA「全部の曲が揃った後、自分が作った曲もひとつ入れたほうが、きっとこのアルバムがもっとみんなに届くんじゃないかと思いました。そういう意味では、自分が曲を作りたいから作ったというより、先ほどのお弁当の話でいうと、私がもうひとつ手作りのおかずを加えることによって、もっともっとみんなのことが好きだよっていう気持ちを、この『Launcher』というアルバムで届けられると思ったので、曲を作った感じです」

――LiSAさんは普段から作曲を意識して、メロディをためたりしているのですか?

LiSA「私の場合は、作ろうと思って作りだすので、普段から曲をためたりはしていないです。自分が曲を作らなければという意志も、今後自分で曲を作っていくんだっていう希望も、自分の中にはあまりなく、必要ならば私がお弁当を作る。あくまでも、愛情を伝えるためのひとつの手段だと思っています」

――そして最後は「No More Time Machine」からの「シルシ」で締めるカタチですが、今回のアルバムだと、バラード系は「シルシ」だけなんですよね

LiSA「ぶっ放したら、あとは行きっ放しって感じです(笑)」

――全14曲をあらためて聴き返してみての印象はいかがですか?

LiSA「あっという間に駆け抜けていくアルバムだと思います。とてもカロリーの高い、ステーキ、焼肉、ハンバーグと続いていく感じ」

――ちょっとあっさりしたかと思っても、やっぱりしゃぶしゃぶみたいな

LiSA「結局、肉だらけみたいなアルバムです(笑)」