2-in-1構造はプロトタイプ機「MGX」に由来

第1世代および第2世代の「LaVie Z」は、とにかく軽量化を最優先してきた。少しでも軽量化できる部分があれば、それに徹底的にこだわった。その考え方は基本的に、「LaVie Hybrid ZERO」でも変わっていない。

だが、今回は、新たな2-in-1という構造を新たに採用した点が大きく異なる。単純に考えても、2-in-1形状の特殊なヒンジ構造を用いることは、そのまま重量増加につながるのは明らかだ。実際、従来の軽量化技術のまま製品化すると、1kgの重量を超えていたという。そうしてみると、これまでの「LaVie Z」の考え方に変化があったようにも見える。

「LaVie Hybrid ZERO」上位機は2-in-1仕様のため、液晶が回転する特殊なヒンジを採用する

それに対して、小野寺執行役員は次のように説明する。「外出先でのノートPCの利用シーンを見ると、必ずしも、机の上などの安定した場所で利用するケースばかりではない。膝の上に乗せたり、時には立ったまま操作しなくてはならないというケースもある。そうした使い方を想定した際に、2-in-1の形状は最適だと判断した。モビリティにおける利用シーンを想定した結果、2-in-1モデルを新たに開発することにした」。これはかなり早い時点で決定したという。

クラムシェル型と2-in-1型の「LaVie Hybrid ZERO」は、外見上は似たように見えているが、実はまったく異なる設計になっている。つまり、2種類のPCを並行して開発してきたともいえるのだ。クラムシェル型は従来のフォームファクターを継承する一方で、2-in-1型は新たに作り上げた製品と位置付けることもできるだろう。

だが、新たな2-in-1型のヒンジ設計において、原型になったものがある。それは2011年に同社が初めて公開した開発コードネーム「MGX」と呼ばれるプロトタイプだ。MGXは、7型有機ELディスプレイを搭載し、薄さ9.9mmのAndroid端末だ。そして、「LaVie Hybrid ZERO」で採用することになった二軸ヒンジを用いて、ディスプレイを360度開閉することができる。

2軸ヒンジ構造の原型となったMGX

MGX(左)とLaVie Hybrid ZERO(右)

「MGXでは、立ったまま操作できること、あるいはあらゆる環境でも操作しやすくすることを狙って、二軸ヒンジを採用した。『LaVie Hybrid ZERO』を2-in-1としたのは、こうした新たな使い方を提案する狙いがあった」。

MGXの基本構造の採用とともに、レノボ・ジャパンが、2012年から発売しているYOGAシリーズで採用したヒンジ構造の量産化技術によって、今回の「LaVie Hybrid ZERO」の2-in-1化が実現したといっていいだろう。

そして、このヒンジ採用による重量増のマイナスを補うために、NECパーソナルコンピュータは、あらゆる観点から軽量化を図った。「新たな軽量化の技術がなければ、この2-in-1形状はあきらめなくてはならなかったかもしれない。むしろ、軽量化の目処が立ったからこそ、2-in-1の形状を採用することができた」という。