CarPlayのワイヤレス化
iOS 8.3では、自動車の車載機とiPhoneを連携させ、運転中も安全にiPhoneを利用できるようにする規格「CarPlay」についても機能向上が見込まれる。
これまで車載機とiPhoneをLightningケーブルで結ぶ必要があったが、iOS 8.3からはワイヤレスで車載機とペアリングできるようになるようだ。
この機能には車載機の対応が必要となるが、iPhoneをポケットに入れて車に乗り込むだけで、車載機のディスプレイからiPhoneを操作できる点は、よりスマートさを増しそうだ。
しかし、ワイヤレスでのペアリングに果たしてどれだけ価値があるかは、実際の利用上、不明瞭と言える。米国で100kmを越える移動をしながら通勤する生活において、クルマでの移動中はスマートフォンの充電のための時間となるからだ。
一方、「車とApple Watch」という新しい関係軸についても面白い可能性があるのではないか、と考えている。
車がインターネットに接続されていると、iPhoneアプリからドアの開閉や空調など、いくつかの操作を行えるようになる。そのiPhoneとつながっているApple Watchから、車の操作を行うことも、将来的にできるようになるだろう。
例えば、Apple Watchが車のキーとして機能したり、広い駐車場で自分の車を探す際に役立ったり、ナビゲーションで曲がる地点が近づいてきたとき、手首の振動で知らせてくれる機能などもぜひ使ってみたい。
車の場合、CarPlay対応の車載機を搭載する車種に乗り換えるか、Pioneerからリリースされている後付けの車載機を導入しなければ、こうしたiPhoneとの連携を楽しむことはできない。そのため、CarPlayそのものも急速な普及や発展が期待できるものではないが、将来のために自動車メーカーとAppleがつながる重要なパスとしての役割として、注目していくと良さそうだ。
松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura