Duoに続く"5代目"のVAIO Z
ソニーは、2012年に発売したVAIO Zを最後に、「Z」シリーズの開発を終了した。事業拡大路線を追求するなかで、数を優先したビジネスモデルへと転換。グローバルに通用する製品づくりが優先されるなかで、最高峰を追求した製品づくりは断念せざるを得なかったからだ。
これは規模を追求しつづけるソニーという大企業のなかで、あくまでも事業部門であるという立場に課せられた呪縛だったといえるかもしれない。PC事業部門の想いだけでは製品化できないというジレンマに陥っていたのだ。
当時の関係者に話を聞くと、「これが正しいと思っても、それを実行することができない状況になっていた。社内を説得するために数多くの資料を作成し、何度もプレゼンテーションを行うことを求められ、それでも作りたいものが作れない環境にあった」という声が出ていたほどだ。
こうした状況が、ソニー時代にVAIO Zの開発を終了せざるを得ない背景にあった。だが、黒崎氏は「VAIO Zの開発を一度終了したという言葉は、当てはまらない」と反論する。
「Zの第1世代であるtype Zが2008年に登場して以来、メンバーの入れ替わりはあるものの、開発チームは固定している。その開発チームがソニー時代の最後に開発したのがVAIO Duo 13。全社方針の関係上、Zという名称は付けられなかったが、これは、VAIO Zの精神を受け継いだ製品」だとし、「その開発チームが作り上げたのが、今回のVAIO Zになる」とする。
仮に、Duo 13を4代目のZと位置づければ、今回のVAIO Zは、事実上、5代目のVAIO Zとなる。その開発精神は、ずっと継続しているというのだ。