ローテーブルに据え置かれていたA4ノート

NECパーソナルコンピュータ 商品企画本部プラットフォームグループ・飛田裕貴氏は、「開発に着手したのは2013年初め。デスクトップやノートPCというカテゴリにとらわれず、ゼロから開発を始めたのがFristaだった」と振り返る。

NECパーソナルコンピュータ 商品企画本部プラットフォームグループの飛田裕貴氏

Fristaの開発にあたり、まず飛田氏が行ったのは、家庭内でPCがどんな使われ方をしているのか、という現状調査だった。ここでは単なるアンケート調査に留まらず、約100人のユーザーを対象に、PCを使っているときの写真と、使っていない時の写真を撮影してもらい、これも収集した。

調査してわかったのは、多くのユーザーが家庭内のPCとして、A4ノートPCを使っていることだった。さらに、そのうちの68%がノートPCであるにも関わらず据え置きでの使い方であり、また、87%が購入時に省スペースを重視していたことだった。

「この点はほぼ想定通りの結果。だが、写真を見て予想外の使い方をしていることがわかった」と飛田氏は語る。

それは、1人暮らしのユーザーの場合、ローテーブルの上にPCを置いて使っているというシーンが多いことだった。しかも、ワンルームの場合には、部屋にベッドが置かれ、その前の置かれたローテーブルの上にノートPCを配置。さらにその奥には薄型テレビが設置されているといった設置方法が目立ったという。

奥行き約16cmのFrista

「ノートPCを据え置きで利用しているケースは多いと想定していたが、その場合、専用の机などに置いていると想定していた。ご飯を食べたり、勉強や仕事をするためのローテーブルに、いつもPCが据え置かれているケースがあまりにも多いことに驚いた」。

調査では、PCメーカーが想定した場所に置かれた使用がされていないという状況が浮き彫りになった。そして、こうしたユーザーの使い方では、ローテーブルの多くのスペースをノートPCが占拠しており、このテーブルスペースを、より効率的に活用したいというニーズを背景に、PCの設置面積の省スペース化が求められていたというわけだ。

NECの2015年春モデルでは、「LaVie Hybrid Frista」の利用場所として自室や台所などが紹介された。Fristaは同じ画面サイズのノートPCと比べ、設置面積を40%カットしている

一方で、家庭内における利用シーンにおいては、こんな課題も想定した。

「スマートフォンやタブレットの普及に伴い、タッチ操作が一般化しているが、既存のA4ノートPCのスタイルではキーボードが手前にあるため、タッチがしにくいという構造上の問題があった。また、デスクトップPCでは大画面が近距離にあり、こちらもタッチしにくいという課題があった。PCで最適なタッチの距離が実現されていないのが実態だった」。