お金を積めば誰でもスマホが作れる時代に
スマートフォンを設計するとき、ゼロから設計していくのは大変だが、Android OSとSoC、そして電子機器の受託製造サービス(EMS)により、事情は変わった。基本性能はSoC任せで、設計等も専業の企業に外注してしまえばいい。OSやドライバー類はAndroidがカバーしてくれる。今や、極論すれば、お金さえあれば誰でもスマートフォンを作れる時代になったのだ。たとえば中国では無数のメーカーからスマートフォンが販売されているが、それらはほとんどが自分たちでは工場も持たず、設計段階からEMSに外注する方法で製造されている。
SoCにより、開発コストと時間は大幅に短縮されたが、同じSoCを使ったスマートフォンはどれも似たり寄ったりの性能になるという側面もある。個性を持たせられるのは液晶ディスプレイやカメラ、本体ケースなどというわけだ。
SoCのスペックがスマホのスペックを規定する
Appleは自社でCPUを設計 |
自社でCPUを設計するアップルとサムスン(「Exynos」シリーズ)以外、基本的にほとんどのスマートフォンメーカーはチップメーカーからSoCを購入して自社製品に採用していると思っていい。このため、新しく発表されたSoCのスペックを見れば、次に発売されるスマートフォンの基本的な性能は予想できる。
逆に、カメラなどのSoCに含まれない外部デバイスについては、SoCから読み取ることはできない。もっとも、こちらはこちらで外部から部品を調達しているメーカーがほとんどなので、よほど特別なパーツを利用するのでなければ、予想はさほど難しくはない。また、SoCの画像処理能力がわかれば、どの程度の動画が撮影できるかの目安にはなる。
では、最新のSoCのスペックから、2015年のスマートフォン、特にハイエンド製品のスペックを予測してみよう。ここではSnapdragon 810とTegra X1を例に挙げてみよう。どちらも64bit-8コアのCPUを持つSoCなので、2015年のハイエンドAndroidスマートフォンは64bitオクタコアが基本性能になるだろう。