VoIPアプリとの違い

これに対してVoLTEは、LTEのまま音声通話を行うために検討された方式で、単純にいえば音声をパケット化してデータ網で送受信するための仕組みだ。従来も「VoIP(Voice over IP)」があり、SkypeやLINE電話などでも使われていたが、仕組みとしてはこれと同様の技術となる。

とはいえ、VoLTEは携帯キャリアが回線交換方式の代わりに提供するサービスなので、VoIPとは異なりさまざまな技術が盛り込まれている。たとえば、「QoS制御」はVoLTEに重要な技術で、この技術により、LTE上では優先的に帯域が確保され、電波が多少悪くても音声が途切れず、安定して送受信できるようになっている。

そのほか、AMR-NBからAMR-WBへと音声コーデックが進化したことによる高音質化(仕様上はAMR-NBも利用できる)、110番や119番といった緊急通報への対応(現時点ではKDDIのみ対応)、低遅延、利用帯域の効率化などの特徴がある。

ドコモとKDDIのスライドから、音声周波数帯域の違い。従来の数字が2社で異なるが、VoLTEでは帯域が拡大し、より音声がクリアに聞こえるようになる

VoLTE同士だと、すべてLTE網で発着信を行うため、「発信」ボタンを押してから相手に実際に着信するまでの時間が大幅に減少する

通話中も3Gにならないため、LTEの高速なデータ通信が同時に行える

こうした特徴によって、音声通話として、回線交換方式と同等以上の機能を実現したのがVoLTEだ。