2014年に起こった4K関連の主なニュースを駆け足で振り返ってみたが、それでは2015年以降はどうなるのだろうか。9月に総務省より発表された「4K・8Kロードマップに関するフォローアップ会合 中間報告」によると、2015年にはCS衛星を使用した実用放送と、ケーブルテレビ、IPVTでの4K実用放送が開始されるとしている。また、2016年には、BSでの8Kと4Kの試験放送を開始し、2018年にはBSBSでの8Kと4Kの実用放送を開始するとしている。
今後行われる4K/8K放送でも、動画の圧縮方式にはHEVC方式が採用される。また、音声は最大22.2chとなり、これらを伝送するための規格としては、現在国際標準化が進められている「MMT」が採用されることになるようだ。それらをまとめたものが「MPEG-H」規格で、こちらも現在、開発が進められている。
MMTは、MPEG-2 TSに換わる次世代のメディアトランスポート規格。HEVCで圧縮された映像に3Dオーディオ、ファイルなどもまとめて伝送することができる。また、非常に強力な誤り訂正符号を備えており、伝送時にパケットロスが発生しても、MPEG-2 TSなどで見られるブロックノイズの発生や画面の乱れを防ぐことができる。
2014 FIFAワールドカップブラジル大会の際に、NHKが行った8Kのパブリックビューイングにもこの技術が使用されていた。
2014年11月に千葉の幕張メッセで開催されたInter BEE 2014で、東芝は放送とネットワークを併用した4K伝送のデモンストレーションを行った。これは、4Kのオリジナルデータから2Kの放送データを作り出し、2Kの放送データは現在の放送を使用して伝送。4Kのオリジナルデータと2Kの放送用データとの差分を取り出し、それをネットワーク経由で伝送するというもの。受信側では、専用のデコーダーによって、2Kの放送と差分データから4Kの映像を作り出す。この場合、放送設備は既存のものをそのまま使用でき、さらに、受信側が2Kテレビならば、これまでと同様に視聴できるというメリットがある。MMTを使用した場合、このような複数の経路を使用した伝送との親和性も高いとされている。
今後、現在のハイビジョンから4K/8Kへの移行が行われることはまず確実だ。ただしその際には、現在の4Kテレビには採用されていない新たな規格への対応が必要となるだろう。