――だから、カタカナで「シルシ」なんですね(笑)。今回はMVのテイストもいつもとちょっと違う感じですね
LiSA「今回は、言葉だけを伝えたいし、この曲だけを届けたいと思ったので、一台のカメラで、ずっとカメラを見つめながら歌うMVがいいんじゃないかと最初は思っていたんですよ。ただ、言葉だけで何かを想像するのってやはり難しいので、せっかく映像を使うのなら、何かキーワードになる物があったほうがわかりやすい。なので、足跡がつく場所で、ちゃんと意味のある場所ということから、"砂漠"のシーンを象徴的に使いました」
――カップリングの「No more Time Machine」は《キャリバー》編のエンディングテーマになっています
LiSA「曲を作ってもらうとき、『冒険』というテーマだけを伝えました。私自身、LiSAッ子たちが、LiSAのライブで出会ったり、LiSAを通じて知り合って、そこから広がっていく絆みたいなものがすばらしいなと思っていたんですよ」
――LiSAさんのライブでパーティーを組むみたいな感じですね
LiSA「まさにそうですね。LiSAというものが『ソードアート・オンライン』だとしたら、そのゲームに遊びに来る子たちがみんな仲良くなって、自分たちの居場所を作っていく。『LiSAのおかげでみんなに出会えたよ』って言ってくれる子たちがたくさんいるのがすごく嬉しいんですよ。その場所も、関係も、ずっと続くわけじゃないかもしれない。結婚したり、子どもができたり、引越ししたり、何かしらのお別れがいつか来るかもしれない。でも、今ここにあるもの、目の前に広がっている景色がとにかくすばらしいと思ったので、みんなにもずっと大切にしてほしいなって思いました。だから、『No More Time Machine』は、LiSAから『ソードアート・オンライン』のみんなに対しての曲でもあり、LiSAッ子たちに対しての曲でもあります」
――キャラクターに対して、そしてファンに対してのメッセージになっているんですね
LiSA「これは『シルシ』の話なんですけど、エンディングの映像で、アスナがイヤホンで『シルシ』を聴いてくれているような描写になっているんですけど、それを観たとき、アスナが私の曲を聴いてくれている! ってすごく感動したんですよ。そして、アスナがユウキへの想いを重ねて涙を流すのがすごく印象的で、二次元と三次元が繋がった、私の想いがアスナに届いたんだと思えて、すごくうれしかったんです。そして、ファンのみんなもこうやって、想いを重ねながら聴いてくれているんだと思って、初めて観たときは思わず泣いてしまいました」
――「No More Time Machine」の中で、LiSAさんが一番気に入っているところは?
LiSA「『まいるなぁ 一人が好きだったのに もう戻れない』ですね。この詞が流れるところでは、映像にキリト君が映って、そこにアスナが手を差し伸べるんですけど、キリト君の気持ちがすごく伝わってくるんですよ。私自身も、一人でいるほうが絶対に気楽だと思っていたけれど、ライブでみんなに会ったり、お仕事でいろいろな人に会ったりする中で、一人じゃないほうが楽しいし、みんなといる時間が続けばいいなって思えるようになったので、この言葉はすごく強いなって思いました」
――"タイムマシンはいらない"というコンセプトも面白いですね
LiSA「実は、作詞の古屋真さんに発注する前に、自分で仮歌詞を書いていたんですよ。でも、古屋さんには見せず、その中からワードだけを選んでお渡ししたんですけど、上がってきた詞をみたら、『タイムマシン』という言葉も『エール』という言葉も同じ場所に入っていた。すごくないですか? 『古屋さん、天才!』って思いました(笑)」
――LiSAさんの想いがちゃんと伝わったんですね
LiSA「でも、そこから『You need a time machine?』とか『No More Time Machine』という曲にしたのは古屋さんで、私自身はそうなると思っていなかったので、本当にすばらしいなって思いました」