爪楊枝の先に、爪楊枝を立たせられる!?
センターステージでは、滝川先生のサイエンスショーが行われた。これは世界一行きたい科学広場の名物。今回のテーマは「バランス」だ。
「爪楊枝の先に、爪楊枝を立たせることができると思いますか?」
ステージ前に集まった子供たちに問いかける滝川先生。子供たちは、圧倒的に「できない」に手を挙げる。確かに、我々大人が考えても、とてもできるとは思えない。先生は続ける。
「確かに、爪楊枝だけではできません。でも、このプラスチックのフォークを組み合わせるとね、できるようになるんです。」
ピエロの人形の帽子が実はコマ。回転することでバランスを取って安定している |
滝川先生「このハイスピード動画は、このカシオのカメラで撮りました」 |
「2つのリングは磁石。N極どうしで反発して、上のリングは浮上しています。このリングがあるときとないときでは、計りが示す数字はどう変わりますか?」 |
ステージ前に集まった子供たちに、先生お手製の実験キットが配布される。中には爪楊枝とプラスチックのフォークをはじめ、ステージショーで使用される道具が入っており、子供たちは滝川先生の実験を見て、その場で自分でも試してみることができるのだ。この実験キットの配布も、もちろん無料。楽しくためになるお土産として、親御さんにも喜ばれている。
ステージではこのほか、バランスコマ(回すと自分で逆立ちして回転するコマ)が逆立ちする様子をEX-SC100のハイスピードムービーで撮影した様子を見せたり、缶コーヒーの缶を油性マジックのキャップ先端に斜めに立たせるなど、バランスの面白さを紹介。釘や接着剤を一切使わず、木材を組み合わせただけで大人が乗れるほどの強度を持つ「レオナルドの橋」の実物も展示した。
バランスの原理を理解することで、爪楊枝の上に爪楊枝を立てることもできる!(左側の写真は合成) |
ギャラリーの子供たちも配布されたキットを使って実験。できた! |
「原理さえ理解できていれば、結構意外なこともできてしまうんですね」と滝川先生 |
世界一行きたい科学広場は、福岡では今回が初の開催だ。中心となって企画と運営を手がける滝川先生は「(福岡を)ゆくゆくは同イベントの九州における天王山的な位置付けに育てたい」と意気込む。
滝川先生「宗像市で最初に開催したときは、来場者が約1,000人でした。それが、4年を経た今年、宗像会場では5,000人を超えました。少しづつでも、こういうイベントの良さ、科学の楽しさを理解してくれる人が着実に増えているというのはありがたいですね。」
このイベントが順調に集客を増やしているのは、やはり滝川先生の為人(ひととなり)とビジョンだろう。それをしっかりと理解したサポートメンバーと団体・企業が「科学ってこんなに身近で楽しいんだ!」と感じさせる出展を行っているからこそ、毎年リピーターが増えていく。
ギャラリーからも続々と「できた!」の声が。子供たちの瞳がいっそう輝いていく |
木材を組み合わせただけの「レオナルドの橋」。その組み立て工程をタイムラプスで撮影した動画を見せながら説明する滝川先生 |
実際に大人が乗ってもびくともしない。この橋もバランスの原理で成立している |
滝川先生「これはね、科学の遊園地なんです。でも、普通の遊園地みたいにただ楽しいだけで終わらない。子供がね、何かにチャレンジしてみたくなる、その動機付けになるんです。入場無料で、しかもあちこちのブースでいろいろなお土産や記念品が貰えて、さらに賢くなるんだから、親にとっても大歓迎ですよね(笑)。お近くで、世界一行きたい科学広場が開催されたら、ぜひお子さんと一緒に足を運んでみてください。」
こうした意義あるイベントにより多くの企業、団体が賛同し、子供たちがひとりでも多く科学に魅力を感じてくれるよう、また彼らが技術立国日本の未来を力強く支えてくれることを願ってやまない。