電機大手8社から、2014年度第2四半期(2014年4月~9月)の連結業績が発表された。8社合計の売上高は前年同期比2.4%増の21兆8,572億円、営業利益は12.0%増の6,945億円、当期純利益は2.7%減の2,331億円となった(※各社合計数値は億単位で切り捨て合算したもの)。本稿では前編に引き続き「テレビ」「PC」「スマートフォン」のカテゴリー別に、折り返し地点を過ぎた2014年度の各社の業績をみていく。
上期業績の2013年度と2014年度の比較(2四半期累計、△は損失ないし減少) | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
売上高 | 営業利益 | 四半期純利益 | |||||||
2013年度上期実績 | 2014年度上期実績 | 前年同期比 | 2013年度上期実績 | 2014年度上期実績 | 前年同期比 | 2013年度上期実績 | 2014年度上期実績 | 前年同期比 | |
日立製作所 | 44,706億円 | 44,967億円 | 100.6% | 1,734億円 | 2,140億円 | 123.4% | 327億円 | 915億円 | 279.8% |
パナソニック | 37,063億円 | 37,228億円 | 100.4% | 1,465億円 | 1,769億円 | 120.8% | 1,693億円 | 809億円 | 47.8% |
ソニー | 34,856億円 | 37,114億円 | 106.5% | 494億円 | △157億円 | ― | △165億円 | △1,091億円 | ― |
東芝 | 30,006億円 | 31,083億円 | 103.6% | 1,068億円 | 1,151億円 | 107.8% | 215億円 | 308億円 | 143.3% |
富士通 | 21,516億円 | 21,928億円 | 101.9% | 303億円 | 322億円 | 106.3% | 146億円 | 241億円 | 165.1% |
三菱電機 | 18,118億円 | 19,728億円 | 108.9% | 797億円 | 1,213億円 | 152.2% | 483億円 | 978億円 | 202.5% |
シャープ | 13,420億円 | 13,276億円 | 98.9% | 338億円 | 292億円 | 86.4% | △43億円 | 47億円 | ― |
NEC | 13,831億円 | 13,248億円 | 95.8% | 3億円 | 215億円 | 7,166.7% | △261億円 | 124億円 | ― |
8社合計 | 213,516億円 | 218,572億円 | 102.4% | 6,202億円 | 6,945億円 | 112.0% | 2,395億円 | 2,331億円 | 97.3% |
プラズマは諦めてもテレビは残すパナソニック - 各社とも4K化に注力
地デジ化以後、長いトンネルに入っていたテレビ分野ではようやく回復基調がみられている。
シャープは、液晶テレビ事業を含むデジタル情報家電で売上高が前年同期比0.6%減の3,327億円、営業利益が8.8倍となる75億円を計上。そのうち、液晶テレビの販売金額は2.5%減の1,891億円、販売台数は前年同期比2.4%減の360万台となった。
シャープの高橋興三社長は、「液晶テレビについては、北米と中国で販売台数を伸ばしたものの、アジアの新興国や中近東における景気減速、政情不安、国内の消費税による駆け込み需要反動の影響から台数、金額ともに前年を下回った」としながらも、「4K対応やクアトロンプロなどの大型、高精細モデルの販売強化をする。中国では4Kビジネスが加速しており、欧州でも構造改革で体制が大きく変わったことで収益性が改善されるだろう」と期待感を示した。
パナソニックはアプライアンス社の業績のうち、テレビ事業の売上高が第2四半期単独で16%減の1,031億円、営業利益が22億円の赤字となった。
「PDP(プラズマディスプレイパネル)事業の終息によるテレビ事業の縮小や、欧州における競合他社の価格攻勢のマイナス影響があったが、4Kテレビの販売増加、米国におけるファクトリーダイレクトモデルによる流通改革効果、パネル調達の合理化といった成果が着実に出ている」(パナソニックの河井英明代表取締役専務)という。パナソニックにとって、赤字のテレビ事業は課題事業であることに変わりはない。パナソニックでは営業利益率5%を全社目標に掲げており、各事業部にも営業利益率5%の達成を課している。
【上】パナソニック・津賀社長 【下】9月25日には、女優の綾瀬はるかさんを招いて大々的に「4Kビエラ」の発表会を開催 |
だが、パナソニックの津賀一宏社長は「テレビは残す」ということを明確にした上で、「テレビ事業では、5%の営業利益を確保するのは難しいと考えている。それにもかかわらず継続する理由は、パナソニックのテレビを必要とする人がいることと、家という大きな空間においてテレビのようなデバイスが不可欠であると判断したことにある。テレビ事業は、赤字と黒字のところをフラフラしているが、どうすればテレビが残せるのかということを考えている」と語った。
ソニーは、テレビを含むホームエンタテインメント&サウンド分野の売上高が前年同期比5.4%増の5,681億円、営業利益は244億円増の156億円。そのうちテレビ事業は、第1四半期の売上高が2,050億円、営業利益が79億円。第2四半期の売上高は1,997億円、営業利益は49億円。2四半期連続での黒字は2003年度第3四半期および第4四半期以来、12年ぶりとなった。
「製造コスト、宣伝販促費の見直しのほか、販売会社の固定削減効果もある。過去は量を追うフェーズであったことから、マーケットで値崩れを起こしていたのが原因。市場環境が悪いところにはモノを入れないという方針にした。今回、通期見通しを100万台下方修正して1,450万台としたが、これは中南米に代表される市場環境が厳しいところに対して、数を落としたのが理由」と、ソニーの吉田憲一郎CFOは説明。「2四半期連続の黒字を達成したが、テレビは過去10年間に渡り赤字だった事業であり、引き続き慎重にみている」とした。
東芝はテレビ事業の売上高が前年同期比17%減の929億円と、1,000億円を割り込んだ。販売地域の絞り込みが原因だという。だが、テレビ事業は構造改革の成果もあり、大幅に収益が改善しているという。