改善点を反映、年明けの商品化に期待
実はAdobe MAX 2014の会場では、マイクロソフトが参加者全員にSurface Pro 3を配布するというサプライズが用意されていた。そのため、Surface Pro 3と比較して、「もう少し軽くして欲しい」という要望もあったという。
こうした声を総括して、伊藤ダイレクターは、「我々が狙ったところに対しては、きっちりと理解をしていただいた。大筋では、この路線で行けば使ってもらえるのではないかという手応えを得た」と自信をみせる。Macを利用しているユーザーに対しても、並列的に利用してもらう提案を行うことにも手応えを感じているようだ。
そうした意味でも、VAIO Prototype Tablet PCの商品化に向けて、大きく一歩を踏み出すことができたのが、今回のAdobe MAX 2014の成果だったといえそうだ。
そして、「今回のAdobe MAX 2014での展示を通じて、数多くの発信が行われ、それによって、VAIOが目指す『本質+α』の一端を理解していただけたのではないかと感じている。その点でも効果があった」とする。
7月1日のVAIOの設立会見では、VAIOの関取高行社長がVAIOの目指す方向性を「本質+α」としたが、これまではコンセプトメッセージの域を出ず、その意味は伝わりにくかった。だが、VAIO Prototype Tablet PCによって、商品をカタチとしてみせたことで、そのコンセプトが理解しやすくなったともいえる。
VAIO Prototype Tablet PCはクリエイター向けの一点突破の商品であり、そこに+αの要素がある。ビジネス向けPCについても、同様に+αの部分が尖った一点突破のPCが投入されるという期待感が高まったといえるだろう。
では、商品化に向けて、同社では今後、どんな動きをみせることになるのだろうか。
今回のAdobe MAX 2014の意見を商品化に反映する動きはすでに始まっているという。「改良点がより具体的になった部分もある。また、我々自身で、改善が必要であると感じていた部分も、今回の声を聞いてより明確になった。すでに改良に向けた取り組みが始まっている」とする。
また、11月8日に東京ミッドタウンでアドビシステムズが開催する「CREATE NOW "Best of MAX"」でも、VAIO Prototype Tablet PCを一般公開し、ここでもクリエイターからの意見を収集。さらに、国内のフォトグラファーやイラストレーターなど、10数人を対象に、1~2カ月間の長期間試用による声も収集し、商品化にフィードバックしていくという。
「VAIOでは、共創という姿勢で商品化を進めていくことを考えている。VAIO Prototype Tablet PCは、クリエイターと共創する商品であり、そこに日本発のモノづくりを組み合わせていく。最初のフィーリングだけでなく、使い込んだ場合に感じた改善点なども反映した上で、商品化していきたい」とする。
VAIO Prototype Tablet PCの商品化に向けた基本路線はほぼ決まったといっていい。伊藤ダレイクターも「なるべく早く商品化したい」と意欲をみせ、時期としては、年明けの商品化が期待されるところだ。
クリエイターによる、クリエイターのためのタブレットPCを標榜するVAIO Prototype Tablet PCは、そのコンセプトを忠実に実現するために、これから最終仕上げに入ることになる。