Adobe MAX 2014参加クリエイターの反応は?

VAIO Prototype Tablet PCは、クリエイターを強く意識して開発した商品だ。

CPUにはHaswell世代であるi7「H Processor」Quad Coreを搭載。2,560×1,704ドット、250ppiの高い表示性能を実現するとともに、クリエイターが望む3:2のアスペクト比を持つ10点タッチ式の12.3型液晶ディスプレイを採用。PCIeハイスピードSSDにより、ストレージのアクセススピードの高速化も実現している。

また、Adobe RGBのカバー率は95%以上であり、「THE MONSTER TABLET」と同社が位置づけるのも、うなずける仕様だ。価格は未定だが、20万円を超えることが想定される。5万円以下で購入できるタブレットとは次元がまったく違うタブレットなのだ。

同社では、Adobe MAX 2014のVAIOブースを訪れた人たちを対象に、アンケートを実施した。数百人規模のクリエイターの声を集めた貴重な調査であり、しかも、フリーコメントを書き込むクリエイターはかなりの数にのぼったという。それだけ、このVAIO Prototype Tablet PCに大きな期待を寄せているということがわかる。

アンケートに回答したユーザーのプロフィールは、約8割が男性。20~30代が約7割を占め、Windowsの使用経験ユーザーは約7割にのぼるという。また、約9割がPhotoShopを利用し、約8割がIllustratorを利用している。アンケート用紙に例として記載した8種類のアプリケーションのすべてを利用している人が少なくなかったといったことからも、複数のアプリを使いこなす最先端のクリエイターたちが回答していることが推測される。

その調査結果によると、半数以上のクリエイターがVAIO Prototype Tablet PCに対して「良い」と評価したという。なかでもAdobe RGBのカバー率では75%がポジティブな評価を行っており、回答者の4分の1が、ディスプレイの表示性能に高い評価を下したという。

Retinaディスプレイを上回る2,560×1,704ドット、250ppiの液晶ディスプレイの表示性能はタブレットとしては異例のものとなっており、その表示性能はクリエイターをうならせた。

2,560×1,704ドット、250ppiの液晶ディスプレイ。表示イラストは同機を使って描いたレイス・バード氏の作品

そのほか「スピード」、「サイズ」、「軽さ」などのほか、クリエイターが重視するペンのフィーリングにも高い評価が集まっている。

ペン機能には、N-trigを採用し、筆圧にも柔軟に対応できるほか、ディスプレイには、ダイレクトボンディング方式の採用により、視差の最小化と、ペン入力時のエアギャップを低減。狙った場所に的確にペン入力ができ、紙に書くのと同じような書き心地を実現している点が評価されているようだ。

ソニー時代のVAIO同様、ペン機能はN-trigを採用。ペン入力時の視差を低減するダイレクトボンディング方式も引き続き採用されている

また、ユニークなスタンド形状にも評価が集まる。VAIO Prototype Tablet PCでは、「フリーストップスタンド」と呼ぶ、独自のスタンド形状を採用。その独自構造により、持ち上げた場合にもスタンドを手で押さえることなく画面角度を変えることができる。任意の角度で止めてペン入力しても画面がグラつかない強度を維持しているのも大きな特徴だ。

「フリーストップスタンドを触ってみて、一体これはどうなっているんだ、と驚きの声をあげていたクリエイターもいた」と、現場のやりとりの様子を振り返り、伊藤ダイレクターは笑う。

スタンドは、画面角度を上げた場合でもスタンド部を手で押さえることなく角度を変えられる独自構造を採用する

そして、一部のクリエイターから高い評価を得たのが、インタフェースだ。とくに、ミニディスプレイポートやSDXCカード対応SDスロット、イーサネットポートを搭載している点については、クリエイターからも評価が高かったという。

一方でネガティブなコメントとしては、「細かい操作性やフィーリングに対する改善要求、そして剛性に対する要望が出ていた」とする。

「プロフェッショナルが求めるフィーリングに近づけるために改良が必要な点はいくつかあると感じた。また、剛性面ではキーボードのタッチ感覚などが対象となっていたようだ。これらの課題は商品化に向けて改善し、細かいチューニングを行っていきたい」とする。

フルサイズのSDカードスロット搭載など、一部クリエイターから高評価を得たインタフェース