――自分のことだけでなく、他の人や身の回りの出来事について考えるきっかけになればいいと。
「過去に作ってきた法律やルールが違うんじゃないかと、今、疑問に思い始めていますけど、実は僕らも同じことをしてしまっているのではないか、とも思うんです。そして後々、孫の代になって『おじいちゃん、おばあちゃんの世代はなんであんな法律を許したの?』と聞かれるかもしれない。その時、ただ『ごめんなさい』と謝るのか、それとも…。僕たちの身の回りには、ホントはもっと議論しなければいけない問題がたくさんあるように思うんです」
――そういった状況を踏まえ、ドラマの中で板東という存在をどう見せていきたいと思いますか?
「最近では会社員の方もあまり社員バッジをしないそうですが、板東はあえてバッジをしている。これは組織の中の歯車の息苦しさを象徴していますよね。あと、台本には『一人、ネクタイをゆるめている』という描写が多いんですが、それを見て、あ、彼は息苦しいんだなと。上司や融資先相手の外行きの顔が多く、息が詰まりそうな中、部下たちの前でネクタイをちょっとゆるめたりする。そんな彼がふっと気持ちを抜いた時、人間らしさというか素顔を少しでも見せることができれば。あとはひたすら我慢です(笑)」
――余談ですが、ドラマファンとしては石橋凌さん、石黒賢さん、鶴田真由さんといった、かつて織田さんが共演された役者さんたちとの顔合わせには感慨深いものがあります。
「気がつくと石橋さんとは20年くらい、石黒さん、鶴田さんとも長いお付き合いになりますよね。中でも、竜雷太さんに関しては、やっぱり『太陽にほえろ!』のゴリさんを見て育った世代ですから、僕も非常に感慨深かったです。それだけでなく、竜さんの芝居に対する姿勢にとても驚きました。あれだけの先輩にもかかわらず、あれほどのモチベーションや熱意で芝居に臨んでいるなんて。竜さんだけでしたからね、本番OK後、監督に『もう1回やらせて下さい』と申し出たのは。自分もああいうふうにいたいな、と思いました」
出演はほかに高嶋政伸、瀬戸康史、川島海荷、平山浩行、竜雷太、鶴田真由、板尾創路、石黒賢、石橋凌。連続ドラマW『株価暴落』は10月19日(22:00~)WOWOWプライムにてスタート。全5回(初回無料放送)。