台風の日に傘をさしたら強風でボキボキに折れて悲惨なことになった経験のある人、手を挙げてーーーー!
……渋谷の交差点あたりでそんな呼びかけをしたら、100人中95人くらいは挙手するんじゃないかと思う昨今、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
そろそろ季節は秋。秋といえば台風シーズンですよね。
できれば台風の日は家に閉じこもってコロッケでも食べていたいところなのですが、そうもいかないのが社会人の辛いところ。一応傘を手に家を出るものの、もうすでにスーツをびしょびしょにする覚悟はできておりますってね。
しかしですよ、なんで傘って強風で壊れてしまうんでしょうね。たしかに骨と骨をつないでいる関節部分が弱点なのはわかるのですが、それにしたってあっさりと曲がりすぎだと思いませんか? もうちょっと根性見せてほしいです。
そこで、僕は閃いたんですよね。
もしかして、傘の骨が強風で折れてしまうのって、傘の形状と持ち方に原因があるんじゃないか……って。つまり、傘が根性なしなんじゃなくて、持っている自分が下手くそなんじゃないか……って。
そうとなれば、さっそく確かめてみましょう!
科学技術計算専門のソフトウェア開発を行っている株式会社ソフトウェアクレイドルさんにお願いして、今回特別に傘と風の関係を分析していただきました。
傘の角度を0°、45°、60°、75°、90°といろいろと変えて、風を当ててみます。10m/s(風速10m)の風が右から吹いてきたとき、傘にかかる圧力はどうなっているでしょうか。
圧力がよりかかっている部分は赤く、それほどかかっていない部分は青く表示されています。こうしてみると、傘全体が空気から受ける力が一番大きいのは0°のときで、 90°が一番小さく、75°が2番目に小さいようです。風の直撃を受けている傘の表面が赤いのは当然として、その後の空気の流れが興味深いですね。
風は傘の表面に当たった後、上下に分かれて後ろへと進んでいきます。このままちゃんとさせていればいいのですが、たいていは強風にあおられて傘が手からくるんっと離れてしまうわけです。
つまり、傘を握っている持ち手のところに回転する力が加わってしまうわけですね。これをモーメント(回転力)と呼ぶそうです。
モーメントをゼロにできれば、傘がくるんっとなってしまうことはないので、ブワサッと変な角度に曲がってしまうこともなくなるはず。ではいったいどの角度で風に向かうのがベストなのでしょうか。
ソフトウェアクレイドルさんの分析によると、モーメントが一番小さくなるのは風に向かって傘を付きだしたとき、つまり0°と、そこから逆に普通にさした状態から少しだけ傾けた75°のときなのだとか。
さらに、Cd値(単位面積当たり、傘全体が空気から受ける力)が一番小さいのも75°のときであり、これらのデータを総合的に分析した結果、暴風時にもっとも「楽な持ち方」なのは75°である、という結論が導き出せるそうです。
……といっても数字だけではよくわかりませんので、実際に自分の体で実験してみましょう!
今回は埼玉県にある防災学習センターさんにご協力いただくことができました。